EXHIBITIONS

村上隆エディション展「JAPONISME → Cognitive Revolution: Learning from Hiroshige」

2025.12.19 - 2026.01.29

村上隆

 Kaikai Kiki Galleryで、村上隆エディション展「JAPONISME → Cognitive Revolution: Learning from Hiroshige」が開催されている。

 村上隆は現代美術家であり、絵画、彫刻、版画、映像など多様な表現を通じて活動してきた作家である。国内外の美術館やギャラリーで展覧会を行い、現代美術とポップカルチャーの関係性を主題とした作品を継続的に発表している。

 本展は、村上による版画展である。ニューヨーク・ガゴシアンギャラリーで開催された個展「JAPONISME → Cognitive Revolution: Learning from Hiroshige」において展示された絵画作品のほぼすべてを版画として制作し、紹介する。展覧会のテーマは「ジャポニズム」であり、歌川広重の浮世絵シリーズ「名所江戸百景」へのオマージュを起点に制作された作品群を通して、ジャポニズムと西洋美術史の関係性を扱う内容となっている。

 展示作品は、広重の浮世絵の参照、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのジャポニズムの展開、さらにその影響が現代美術に及んでいるという視点にもとづくものである。アルフレッド・バーによる「CUBISM AND ABSTRACT ART」の体系図に言及しつつ、ジャポニズムがシュルレアリズムや抽象美術の形成に関与したという考察を背景としている。また、マンガやアニメといった現代の視覚文化が持つ抽象性や普遍性にも触れ、浮世絵以降の視覚表現の変遷を参照する構成となっている。

 今回の展示では、原画が各所に分散した作品群を版画という形式によって再集成し、一堂に展示することで、ジャポニズムの影響の広がりを検証する機会を提示する。