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「アート・ジャカルタ2026」開催レポート。群島国家の多層なエコシステムを結ぶアートフェアの現在地【2/3ページ】

AJ Scope──地方エコシステムと都市をつなぐ新たな試み

 今年新設された注目のセクションが「AJ Scope」だ。これはインドネシア共和国文化省傘下の国家才能育成機関「MTN Seni Budaya」の支援を受けて実現したもので、インドネシア全土の6つの新興アートプラットフォームを結集させた企画となっている。

 このセクション内に展開された「MTN Market」では、首都ジャカルタ以外の各地域に展開している独立系のアートフェアやプロジェクトが紹介された。教育やインキュベーションを含む多角的なアプローチを展開する各団体の展示は、首都集中型から脱却し、地域ごとに独自の進化を遂げるインドネシアの現代美術の多層的な構造を浮き彫りにしている。

MAM(Mini Art Malang)のブース

 「MTN Market」のひとつとして参加していたマランを拠点とするMAM(Mini Art Malang)は、すべての展示作品を50×40センチという統一サイズで提示。ブース内には90点以上の作品が並び、さらに会期初日終了後には全作品を総入れ替えするという展示手法を敢行。総勢140名を超えるアーティストの作品が一挙に紹介され、熱意あふれるブースを展開していた。

 フェアディレクターのタンディオは、この新しい施策について、「AJ Scopeを通じて地方のアートエコシステムをジャカルタの観客と引き合わせることで、Art Jakartaはたんなる首都の大型フェアにとどまらず、国内全域のアートシーンを結びつけるハブとしての役割を強めている」と語る。

SCENE、SPOT、AJX──交流を生み出すオルタナティブ空間

 アーティストコレクティブ、クラフトスタジオ、自主出版プロジェクトなどが一堂に会する「SCENE」セクションには、今年39の団体が出展した。従来のギャラリーセクションとは一線を画し、細い通路に小さなブースがひしめき合う構造は、まるで祭りのような熱気に満ちていた。ここでは手に取りやすい小作品やグッズが豊富に並んでおり、17時過ぎには来場者も増え、大きな賑わいを見せていた。つくり手と買い手が直接言葉を交わす光景も見られ、オープンな交流の場として機能していた。

「SCENE」セクションの会場風景
細い通路に小さなブースがひしめき合う構成
「SPOT」セクションのひとつとして展示されたアンキ・プルバンドノの作品

 いっぽう、ギャラリーが推薦するアーティストのソロプロジェクトを見せる「SPOT」セクションでは、通常のブース枠を超えた展示を展開。アルベルト・ワンマ & ブディ・サントソ(ROH)の立体作品や、アンキ・プルバンドノ(SAL Project)のインスタレーションなど、スケール感のある展示が来場者の足を止めていた。

「Korea Focus」の会場風景

 国際機関との連携を目指す「AJX」セクションでは、昨年に続き「Korea Focus」が展開され、韓国から若手を中心とした14のギャラリーが参加。多くが初の国際フェア出展となり、東南アジア市場における韓国現代アートの新たなアプローチの場となっていた。