マレーシア・クアラルンプールに、東南アジアの近代・現代美術に特化した非営利アートスペース「Muara Arts」が11月1日に開館する。
マレーシアのクレアドア財団によって設立される同館は、クアラルンプール発祥の地として知られる歴史地区メダン・パサールに位置し、1930年代に建てられたアールデコ様式のショップハウス6棟を保存・改修して整備される。約2万平方フィート(約1858平米)におよぶ空間は、歴史的な建築の特徴を残しながら、美術館水準の展示環境へと生まれ変わる。かつて銀行や金融機関が集積していた街区を文化拠点へ転換する、地域再生プロジェクトの中核施設でもある。
「Muara」はマレー語で「河口」を意味し、川が合流する場所を指す言葉だ。その名のとおり、東南アジア各地のアーティストや研究者、観客が交わる拠点となることを目指し、展覧会や教育プログラム、出版、国際的な協働を通じて地域の芸術文化を発信する。年間を通じて個展やグループ展、新作コミッションなどを開催し、地域内外の新たなネットワーク形成を促進していくという。
アーティスティック・ディレクターを務めるのは、ロンドンのホワイトチャペル・ギャラリー元チーフキュレーターのリディア・イー。開館記念展「A–Z of Southeast Asian Art: A Critical Dictionary」では、シンガポールのアーティスト、ホー・ツーニェンによる継続的プロジェクト「The Critical Dictionary of Southeast Asia」(2017-)を出発点に、40名を超えるアーティストによる絵画、彫刻、テキスタイル、インスタレーション、映像、紙作品を紹介する。文化や歴史、地理、生態系、政治など、東南アジアをめぐる多様なキーワードを手がかりに、地域の複雑なアイデンティティを提示する展覧会となる予定だ。
また、同館に加えて劇場「Muara Arts Theatre」、屋外イベントスペース、カフェやレストラン、ショップなどを整備する文化複合開発も進められている。2029年開館予定の劇場は、Foster + PartnersがマレーシアのVeritasおよびStage Rightと協働して設計を担当し、345席のプロセニアム劇場、190席のブラックボックスシアター、リハーサル室、2層構成のアートギャラリーを備える予定だ。芸術を媒介に人や地域をつなぐ施設として、クアラルンプールの新たな文化的ランドマークとなることが期待される。





















