EXHIBITIONS

蔦谷喜一個展 ~曽田コレクション~

2026.10.24 - 11.28

蔦谷喜一《おてだま》(1988頃)絹本彩色 24.6 × 34.8 cm

 東京・渋谷のNANZUKAで「蔦谷喜一個展 ~曽田コレクション~」が開催されている。会期は11月28日まで。

 蔦谷喜一(1914〜2005)は東京・築地の紙問屋に生まれた。高畠華宵や山川秀峰らの作品に影響を受け、私立美術学校「川端画学校」の日本画科で学んだのち、1940年に「フジヲ」のペンネームでぬりえの制作を開始。戦後、47年から少女をモチーフとした「きいちのぬりえ」が駄菓子屋などで販売され、娯楽の少なかった当時の日本で爆発的な人気を獲得した。

 本展では、蔦谷が1985年頃から日本画の技法を用いて制作した「童女百態シリーズ」34点を展示。いずれもコレクターの曽田大資が蔦谷のアトリエに通い、長年にわたって収集・保管してきた作品であり、今回が初の一般公開となっている。

 曽田は1983年に蔦谷と出会い、その作品世界に魅了されて収集を開始した。本展に寄せたコメントでは、蔦谷を「たんなるぬりえ作家ではなく、卓越した技量と豊かな感性を備えた日本画家として評価すべき」と述べている。

 なお、本展に合わせて『蔦谷喜一作品集 曽田コレクション』が刊行。同書には、「美少女の美術史」展(青森県立美術館、2014)のキュレーターを務めた美術史研究者・工藤健志による論考も収録されている。工藤は蔦谷のぬりえを、戦前と戦後の視覚文化を結び直す「ミッシングリンク」と位置づけ、大正・昭和初期の「カワイイ」文化が戦後の少女表象へと受け継がれるうえで果たした役割に注目している。