世界最大の群島国家であるインドネシア。その首都ジャカルタで、東南アジアを代表するアートフェア「アート・ジャカルタ2026」が開催された。会場は昨年に引き続き、ジャカルタ北部に位置する大規模展示場「JIExpo Kemayoran」が選ばれ、10月2日〜4日の3日間にわたって実施された。会期中に会場を訪れた来場者数は、前年比4.3パーセント増となる41646人を記録。年々着実な伸びを見せており、企業からのスポンサーシップやコラボレーションプロジェクトも増加傾向にあるという。
アート・ジャカルタのフェアディレクターを務めるトム・タンディオは、ジャカルタのアートシーンの現状について次のように語る。
「ジャカルタのアートシーンは着実に成長していると感じている。従来は『ジャカルタはマーケットの拠点であり、芸術的な創作活動を見るためにはバンドンやジョグジャカルタへ足を運ぶ必要がある』という認識が一般的だった。しかしここ1〜2年で、新しいギャラリーのオープンが相次いだだけでなく、展示会場として機能する独立したオルタナティブスペースやスタジオが増加している」。
GALLERYセクション──若手コレクターの増加
メインとなる「GALLERY」セクションには、インドネシア国内外から75のギャラリーが集結した。その半数以上が地元インドネシアのギャラリーで占められるいっぽう、海外からは33ギャラリーが参加。そのうち19ギャラリーが初出展となった。地域別に見ると、ジャカルタをはじめ、ソウル、台北、香港、シンガポール、北京、東京など、アジア圏の主要都市に拠点を置くギャラリーが多数を占めている。
出展ギャラリー数が昨年と同数の「75軒」に維持されている点について、タンディオは次のように解説する。「75軒という規模は、各ギャラリーやパートナー企業が十全なプレゼンテーションを展開するためのスペースを十分に確保できる、非常に良いバランスだと考えている。出展者が会場の空間特性に慣れることで、より戦略的なブース構成も可能になった。今後規模を拡大する可能性もあるが、私たちは規模の大きさだけを『成長』とは捉えておらず、提供するコンテンツの多様性や質の向上を重視している」。

昨年同様、地元を代表する有力ギャラリーの動きも活発だ。ジャカルタ、ジョグジャカルタ、マニラにスペースを構えるGajah Galleryのディレクター、アイシャ・アムリン(Aisha Amrin)は、「昨年に比べて若いコレクターの来場が目立つ」と市場に新たな世代が流入していることを指摘する。

また、2014年設立のROHも出展。なお同画廊はフェア会期中に合わせ、ジャカルタ市内の自社ギャラリースペースにて、バグス・パンデガと今津景による二人展「Wet」(9月25日〜11月1日)を開催しており、フェアと市内の展示の双方で注目を集めていた。

ギャラリーセクションのブースでは、大型作品の出展も目立つ。例えばジャカルタを拠点とするStasa Galleryは、横幅4メートルを超える大型作品を出展。「昨年も大型作品を購入したコレクターがおり、そうした作品を飾れる十分な空間を持ったコレクター層が存在する」という。
日本からは、AKIO NAGASAWA GALLERY、DDD ART+SCENA.、Miaki Gallery、MISAKO & ROSEN、Whitestone Gallery、YOD Gallery、YUMEKOUBOU GALLERYなどのギャラリーが参加した。

アジアのアートを精力的に紹介するOta Fine Artsのシニアディレクター・鶴田依子は、「昨年以上に客足が多く、作品の動きも順調。コレクター全体でアーティストを温かく育んでいこうという熱量がジャカルタのアート市場の特徴」だと語る。

古美術や近代美術を扱う秋華洞が現代美術専門画廊として立ち上げたGALLERY SCENA.は、アート・ジャカルタに初出展(過去秋華洞としては出展あり)。ディレクターの田中碧は、「現地市場は非常に勢いがある。王族や富裕層のコレクターが作品をまとめ買いしたり、コミュニティ内で1人が買うと周囲も連鎖的に購入し始めたりするような購買傾向がある。勢いのあるジャカルタのアート市場の顧客層も開拓していきたい」と意気込みを見せた。































