なぜトヨタは文化に取り組むのか?
トヨタグループはTHE MOVEUMを、たんなる映像体験の施設ではなく、文化芸術への取り組みを発信する場として位置づけている。2025年の開設時、トヨタ自動車の豊田章男会長は、世界の優れた芸術作品との出会いを生み出し、実物を見るために現地へ足を運ぶきっかけを提供したいとの考えを示していた。
施設名の「MOVEUM」は、「MUSEUM」と「MOVE」を掛け合わせた造語だ。「MOVE」には物理的に「動く」という意味に加え、「心を動かす」「感動する」といった意味も込められている。
また、横浜はトヨタにとって歴史的にもゆかりの深い場所だ。豊田佐吉が自動織機で世界へ進出する出発点となったのも、豊田喜一郎が欧米視察に向けて旅立ったのも横浜であり、トヨタが「世界に出る」節目には、この港町があった。
名画を巨大な映像として鑑賞する没入型施設が増えるなか、THE MOVEUMの第2期は、映像体験に加えて美術史的な背景を伝える展示も組み合わせたものとなった。モネが見つめた日本美術の世界を、現代の映像技術によって追体験する。その経験が、モネや浮世絵の実作品への関心をどのように広げていくのかにも注目したい。



















