陶芸や竹工芸、漆芸、螺鈿など、日本で長く受け継がれてきた「工芸」。近年、その工芸がアルファベットの「KOGEI」として、海外で存在感を高めている。
白磁で知られる黒田泰蔵の作品は海外オークションでも高く評価され、竹工芸の四代田辺竹雲斎は世界各地で大規模なインスタレーションを展開。伝統的な螺鈿の技術とデジタルのイメージを融合させる池田晃将の作品は、ヒューストン美術館をはじめ国内外の美術館に収蔵されている。ラグジュアリーブランドのロエベも2016年に「LOEWE FOUNDATION Craft Prize」を創設し、日本人作家がたびたびファイナリストや受賞者に名を連ねてきた。
こうした動きを、長年ニューヨークを中心に日本・東洋美術のマーケットを見てきた山口桂はどう捉えているのか。
「工芸」をファインアートと対置しない
──長年、国際的なアートマーケットで日本美術を扱ってきたなかで、日本の工芸、そしてKOGEIの位置づけはどのように変化してきたと感じていますか。
山口桂(以下、山口) そもそも日本美術には、工芸品が非常に多いんです。家のなかで実際に使うものに、日本人が美を求めてきた長い歴史がある。
ただ、いま私たちが「KOGEI」と呼んでいるものは、「ファインアートか、工芸か」という従来の括りとは少し違うと思っています。デザインや現代美術に近いものとして、アートのひとつのジャンルとして捉えられている。実際、世界でもそういう考え方をする人が増えています。
例えば黒田泰蔵の作品も、日本人がつくったから日本美術、現代作家がつくったから現代美術、という単純な分類を超えている。黒田作品がオークションの「デザインセール」に出てくること自体、そうした境界を越えつつあることのひとつの証拠だと思います。

──現在、個人的に注目している日本の工芸作家はいますか。
山口 池田晃将さんですね。金沢を拠点に、長い歴史を持つ漆や螺鈿の技術を使っています。が、そこにデジタルの数字というモチーフやレーザーカッターなど現代の技術を取り入れている。伝統工芸的な方法だけにとどまらないんです。
造形についても、もともとは茶器などをつくっていました。現在ではオブジェや彫刻のような作品も制作しています。ぱっと見ただけでは非常に現代美術的なのですが、知れば知るほど、その裏側に高度な伝統技術があることがわかる。そこが非常に面白いですね。
──伝統技術を継承しながら、表現としてはその先へ行こうとしている。
山口 そうですね。つくり手自身の意識も変わってきていると思います。



























