• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • なぜ東博は海外とのMOU締結を加速させるのか? モロッコ王国国…

なぜ東博は海外とのMOU締結を加速させるのか? モロッコ王国国立図書館との締結式で藤原誠館長が語った狙い【2/2ページ】

MOU締結の先にあるもの

 いっぽう、東博はモロッコだけでなく、近年、世界各国の文化機関とのMOU締結を相次いで進めてきた。なぜ、いま東博は海外機関とのネットワーク構築を加速させているのだろうか。この質問に対し、藤原館長はその狙いを大きく2つに分けて説明した。

 ひとつは、世界各地に点在する日本美術のネットワーク強化だ。「日本美術の中心は日本にあるが、日本美術は世界中に点在している」とし、ボストン美術館やメトロポリタン美術館、大英博物館など、日本美術を数多く所蔵する海外機関との連携を強めることの重要性を指摘した。

 そしてもうひとつが、文化を通じた国際交流の推進だ。藤原館長は「いまの世界情勢を考えれば、文化を通じた平和の構築にも貢献できる」と語り、こうした交流が広い意味での「文化外交」につながると強調。日本美術の所蔵機関に限らず、モロッコをはじめとする多様な国の文化機関との関係を築く意義を示した。

 今回のMOU締結にも、文化財保存を通じた交流という背景がある。モロッコ王国国立図書館では、日本の和紙を用いた古文書の修復について、外務省による機材提供などの技術協力が行われてきた。藤原館長は今年4月に同国を訪れた際、同館の修復現場を視察。これが今回の協定締結につながったという。

 また、今年9月には、東博の研究員がモロッコ王国国立図書館で文化財修復に関するプレゼンテーションや紙資料の修理に関するワークショップを実施するなど、すでに実務的な交流も始まっている。

 では、こうしたMOUは一般の来館者にどのようなメリットをもたらすのか。藤原館長は、将来的な展覧会交流の可能性に言及。モロッコの文化を日本で紹介するとともに、日本の文化財をモロッコで展示することで、相互理解を深める機会になるとの考えを示した。

 世界各地の文化機関との連携を通じて、日本美術の研究や発信を強化するとともに、文化を介した国際的な相互理解にも貢献する。今回のMOU締結からは、東博が目指す国際交流の方向性が見えてきた。

Exhibition Ranking