芸術祭を見ることは、前橋を歩くこと
前橋国際芸術祭2026の大きな特徴は、「この作品だけを見ればいい」という巨大なシンボルが中心にあるのではなく、街の様々な場所に作品やプロジェクトが入り込んでいることだろう。
アーツ前橋を出て商店街を歩き、再開発を待つ建物を眺め、馬場川へ向かう。すると川俣正の小さな建築、渋谷慶一郎の音、蜷川実花 with EiMのインスタレーション、そして街にすでに存在する店舗や建築、人々の生活とが織り重なり、新たな風景をかたちづくっていることに気づく。

近年の前橋では、アーツ前橋や白井屋ホテルに加え、まえばしガレリア、ばばっかわスクエアなど、アートや建築を核とする場所が増えてきた。今回の芸術祭は、それらを一つひとつの「点」として紹介するのではなく、歩くことによってひとつの都市体験へと結び直そうとする試みでもある。
宮本が言うように、芸術祭にやってくるアーティストは、前橋にとっての「他者」だ。その異なる視点に触れることで、街に暮らす人にとっては当たり前だった風景が、別の姿を見せ始める。そして田中の「作品とともに街を見ることで芸術祭は完成する」という言葉は、本芸術祭の性格を端的に表している。
作品を見るために前橋を歩くのか、前橋という街を見るために作品を訪ねるのか。その区別が曖昧になったところから、この第一回前橋国際芸術祭は始まっている。



















