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「毛利悠子 Recompose」(横浜美術館)開幕レポート。ヴェネチアから横浜へ、変化し続ける「共生」のかたち【3/4ページ】

果物の変化を音と光へ変換する

 もうひとつのシリーズ「Decomposition」は、様々な果物とスピーカー、電球などで構成されたもの。果物は時間の経過とともに水分を失い、変色し、やがて朽ちていく。電極はその内部で生じる水分量や電気抵抗の変化を検知し、電気信号を音や光へと変換する。展示初日と数週間後、そして会期の終盤とでは、果物の状態も、空間に響く音も同じではない。

 不規則に点滅する光やノイズは、人為的に作曲した旋律ではなく、果物という生の物質が温度や湿度、時間と反応しながら生み出す、その時々の音だ。鮮やかな色を保っていた果物が変色し、形を失っていく過程には、どこか生々しさがある。しかし、それはたんなる腐敗や消滅として提示されているのではない。物質が別の状態へと移行し、新たなエネルギーや音を生み出す「変容」としてとらえ直されている。

「Decomposition」シリーズ

 ヴェネチアでの展示では、会期中に使用された400個以上の果物がコンポスト容器に集められた。展覧会終了後も分解は続き、2025年3月末に完成した腐葉土は、韓国館との間にあるスロープの下や、ドイツ館前の庭へと撒かれたという。展覧会は閉幕によって終わったのではなく、作品が別の物質に姿を変えたあとも続いていると言える。

「Decomposition」シリーズで使用されている果物は様々だ

編集部

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