2024年の第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展において、日本館代表作家として個展「Compose」を開催した毛利悠子。その帰国展となる「毛利悠子 Recompose―第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展」が、横浜美術館のギャラリー9で開幕した。会期は11月23日まで。観覧は無料となっている。
毛利は1980年神奈川県生まれ。磁力や重力、空気の揺らぎといった自然現象を取り込みながら、日用品や機械装置、自然物などを組み合わせたインスタレーションを制作してきた。本展では、ヴェネチア・ビエンナーレの日本館を満たした代表的な2つのシリーズ、「モレモレ(Moré Moré[Leaky])」と「Decomposition」が、横浜美術館の環境に応じて再構築。ヴェネチアの展示作品全17点中15点が並ぶ。


ヴェネチアの「Compose」を横浜で組み直す
ヴェネチアでの展覧会タイトル「Compose」には、「作曲する」「構成する」という意味に加え、語源となる「com=共に」「pose=置く」という考えが込められていた。コロナ禍や紛争、気候危機などによって分断が深まる世界において、異なる存在が「共に置かれる」とはどういうことなのか。毛利は、複数のものが互いに干渉しながら成り立つインスタレーションを通して、その問いを提示した。
今回のタイトルとなった「Recompose」は、ただヴェネチアでの展示を再現することを意味するものではない。建築や光、気候、鑑賞者といった条件の変化を受け入れ、作品を新たな関係のなかに置き直すこと。それ自体が、毛利の制作の重要な一部となっている。
会場となるギャラリー9は、横浜美術館の改修を機に新設されたガラス張りの展示室。外には美術館前の「美術の広場」が広がり、天候や時間帯、人々の往来によって変化する光景が展示空間へと入り込む。外部から切り離されたホワイトキューブではなく、周囲の環境に開かれた空間が、毛利の作品を受け止めている。




























