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「杉本博司 絶滅写真」展(東京国立近代美術館)開幕レポート。杉本博司の原点とこれからを見る【4/5ページ】

第3章「絶滅写真」

 第3章「絶滅写真」は、本展の核となるセクションである。

 ここでは、終焉を迎えつつある銀塩写真というメディアの始原へと遡る試みが展開される。「前写真、時間記録装置」「フォトジェニック・ドローイング」「肖像」から最新作「Opticks」まで、6つのシリーズを通じて、杉本が見据える写真の未来が提示される。

「肖像」シリーズの展示風景 ©︎Hiroshi Sugimoto / Courtesy pf Gallery Koyanagi

 「肖像」は、ロンドンのマダム・タッソー蝋人形館などで蝋人形を撮影したシリーズだ。写真を見た鑑賞者は、生身の人物を撮影したものと錯覚する。しかし実際に写っているのは蝋人形であり、その蝋人形自体もまた、かつて存在した人間の姿を写し取ったものである。ここには「ジオラマ」にも通じる、複製と現実、記録と再現をめぐる問いが潜んでいる。

 そして本章の終盤を飾るのが「Opticks」シリーズである。

「Opticks」シリーズ ©︎Hiroshi Sugimoto / Courtesy pf Gallery Koyanagi

 同シリーズは、17世紀にアイザック・ニュートンが行ったプリズムによる分光実験を再現し、光の色彩そのものをカラー印画紙に定着させた作品群。長年モノクロ写真を中心に制作してきた杉本にとっては異例の試みでもある。

 本展では最新作《Opticks 087》(2025)が初公開された。そこに写されているのは対象ではなく光そのものだ。言い換えれば、写真が本来持っていた「光を記録する技術」という原点へと立ち返る試みとも言えるだろう。

新作の《Opticks 087》(2025) ©︎Hiroshi Sugimoto / Courtesy pf Gallery Koyanagi

編集部

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