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特別展「ポップ・アート 時代を変えた4⼈」(山梨県立美術館)開幕レポート。1960年代を生き抜いたアーティストたち【3/6ページ】

 第3章「ポップ・アート、ファッションと出会う」では、ポップ・アートとファッションの関係を紹介している。ニューヨーク五番街にあった百貨店ボンウィット・テラーのショーウィンドウでは、サルバドール・ダリなどとのコラボレーションがすでに行われていた。その後1950年代以降に、ジャスパー・ジョーンズやアンディ・ウォーホルをはじめとしたポップ・アーティストたちも多く起用され、なかにはプレタポルテ(既製服)の有名ファッションブランドに起用された者もいた。アンディ・ウォーホルによってアートの文脈に引っ張られたキャンベルのスープ缶も、ファッションに取り入れられた一例である。

第3章「ポップ・アート、ファッションと出会う」の展示風景より

 第4章「ロイ・リキテンスタイン」。コミックストリップのイメージを引⽤した絵画制作で有名なリキテンスタインは、レタリングや吹き出しを絵画に盛り込んだだけでなく、コミックで多⽤される印刷技法のベンデイ・ドットを制作に取り込むなど新しい取り組みを行った。本章ではリキテンスタインが参照した元のコミックも一部展示されており、原作のコミックとリキテンスタインの作品を比較し、その違いを探すことができる。

第4章「ロイ・リキテンスタイン」の展示風景より

 リキテンスタインは、その後自身の手法を用いながら、美術史上の作品を参照した絵画を制作するようになる。ジャン=フランソワ・ミレーが描いた《種をまくひと》(1850)をオマージュしたフィンセント・ファン・ゴッホの《種をまくひと》(1888)、これをさらにリキテンスタインは自身のスタイルでオマージュした。既存のイメージを二重にオマージュする行為そのものも、ポップ・アートの姿勢を表しているといえるだろう。

第4章「ロイ・リキテンスタイン」の展示風景より

編集部