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特別展「ポップ・アート 時代を変えた4⼈」(山梨県立美術館)開幕レポート。1960年代を生き抜いたアーティストたち【6/6ページ】

 第9章では、ジョーンズやラウンシェンバーグらから影響を受け、1960年頃から広告や雑誌などの図像を題材とした絵画を制作したジェームズ・ローゼンクイスト(1933〜2017)、第10章では、伝統的な主題をアメリカの現代生活の文脈の中で再解釈したトム・ウェッセルマン(1931〜2004)、第11章ではラウシェンバーグの影響もあり、身近なものをモチーフに作品を展開したジム・ダイン(1935〜)が紹介されている。

第9章「ジェームズ・ローゼンクイスト」の展示風景より
第10章「トム・ウェッセルマン」の展示風景より
第11章「ジム・ダイン」の展示風景より

 最終章である第12章には、「1セント・ライフ」というタイトルがつけられている。「1セント・ライフ」とは、アメリカおよびヨーロッパの28人のアーティストたちの作品からなり、抽象表現とポップ・アートの両方を紹介するポートフォリオのことである。本書は、1964年に2000部限定で出版されたもので、色鮮やかなリトグラフ62枚と上海生まれの画家兼詩人のウォレス・ティンの詩が収録されており、ジャスパー・ジョーンズを除く本展出品のポップ・アーティストが全員参加している。

第12章「1セント・ライフ」の展示風景より

 会場の最後には8名のアーティストのポートレート写真が並ぶ。本展は、宣言も派閥もないポップ・アートにしては珍しいグループ展となっており、このめくるめく時代を精力的に生き抜き、様々な挑戦を行ったアーティストたちの創造性を、一堂に体感することができるだろう。

編集部