第3章 「捲土重来の勢を以て爆発している」 ―三兄弟の日本アナキズム
数々の挫折後、兄弟は門下生と開催した画塾展を発表の場としていく。1912年(大正元年)に竹坡が発足した「八火会」には越堂と国観も参加し、「八華会」、「八火社」と改称しつつ帝展(文展の後身)への対抗意識も鮮明に展覧会を開催する。3回の短い期間とはいえ、発表作は最先端の西洋絵画の動向も取り入れ、従来の日本画からは大きく逸脱した自由で斬新な表現を含み、その活動は大きな反響を呼んだ。
竹坡のキュビスムや未来派を思わせる先鋭的な作品は、その画題も含めて現代でも衝撃的だ。ナビ派のような装飾性や素朴派を彷彿とさせる描法や彩色など、この時期の竹坡は、ありとあらゆるものを吸収し、画面にぶつけているような迫力で圧倒する。