金沢21世紀美術館やルーヴル美術館ランス別館などを手がけ、日本を代表する建築家のひとりとして知られる妹島和世。そのひとつの作品の設計から完成までの様子を記録したドキュメンタリー映画『建築と時間と妹島和世』が、1週間限定でユーロスペースにて公開される。
本作は、コロナ禍の2020年に上映された作品。今回の限定上映は妹島が令和6年度の文化功労者に選ばれたことを記念するものだ。
妹島和世は1956年茨城県生まれ。95年に建築家・西沢立衛とともに「SANAA」を設立し、数多くの作品を手がけてきた。2010年には第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを務めたほか、SANAAとしては日本建築学会賞、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞などを受賞。また個人では、芸術文化勲章オフィシエ、紫綬褒章などを受章し、高い評価を得ている。現在は、ミラノ工科大学教授、横浜国立大学大学院建築都市スクール(Y-GSA)名誉教授、大阪芸術大学客員教授、東京都庭園美術館館長を務める。
本作は、写真家のホンマタカシが、妹島が手がけた大阪芸術大学アートサイエンス学科の新校舎の構想から完成までの3年6ヶ月という時間を追い、一人の建築家がひとつの建築に向き合う姿を鮮明に描き出した、妹島和世唯一のドキュメンタリー映画。
同校舎は、UFOが舞い降りたような有機的な外観をした建築であり、内部は細い柱で支えられた非常に開放的な空間。内と外との自然なつながりを感じられる、公園のような建物だ。ひとりの建築家がひとつの建築に向き合う姿を鮮明に描き出すこの作品は建築ファンは必見。この機会に映画館に足を運んでみてはいかがだろうか。