東京・広尾の山種美術館で、日本画家・福田平八郎(1892〜1974)の没後50年を記念し、その画業をたどるとともに、平八郎が影響を受けた琳派の名品を展示する特別展「没後50年記念 福田平八郎×琳派」が開幕した。会期は12月8日まで。
福田平八郎は大分生まれ。京都に出て京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校に学び、1919年には帝展に初入選を果たした。大正期はモチーフを入念に観察し、写実的に表した作品を制作。さらに昭和に入ると、単純な色面と大胆な構図による独自の芸術を確立していった。
本展は3章構成。平八郎の作品を紹介しつつ、平八郎が影響を受けた琳派の名品を展示、さらに平八郎と同様に琳派に影響を受けた近現代の作家の作品を紹介している。まず、会場の入口で来場者を迎えるのは《筍》(1947、昭和時代)だ。背景には竹の葉が意匠的に散りばめられ、いくつもの岩絵具を組み合わせて作った黒い筍と、緑青の鮮やかな葉との対比が鮮烈な印象を与える。