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「オタケ・インパクト ―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム」(泉屋博古館東京)開幕レポート。風雲児・尾竹三兄弟の東京初の展覧会にみる近代日本画の光と影

明治から昭和にかけて、さまざまな展覧会で活躍した日本画家の三兄弟で、「展覧会芸術の申し子」とまで称された「尾竹三兄弟」の東京で初めての展覧会「オタケ・インパクト ―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム」が泉屋博古館東京で開幕した。会期は12月5日まで。

文・撮影=坂本裕子

会場展示風景より

知られざる尾竹三兄弟

 明治時代、芸術も国家主導で近代化が図られる。文部省美術展覧会(文展)をはじめ、様々な展覧会が開催されるなか、日本画壇で活躍したのが、越堂(えつどう、1868~1931)、竹坡(ちくは、1878~1936)、国観(こっかん、1880~1945)の「尾竹三兄弟」だ。仲の良かった3人は切磋琢磨するライバルとして、各々の絵を追求し、展覧会で入選を重ねていく。1912年(大正元年)の文展では三兄弟揃っての入選を果たし、「尾竹三兄弟」として名声を博した。

会場展示から 尾竹三兄弟(上から越堂、竹坡、国観)新潟県立近代美術館・万代島美術館

 しかし1908年(明治41年)に、国画玉成会の審査員をめぐり竹坡が岡倉覚三(天心)と衝突、1913(大正2年)の文展では三兄弟同時落選を経験する。竹坡は美術行政制度の改革を謳い衆議院議員の総選挙に立候補するも落選し、「先に文展に祝福され、後に文展に呪詛されて居る気の毒なる作家」と称された。その後は門下生たちと画塾展などを開催し、新しい表現の日本画を次々と発表して画壇に衝撃を与えるが、型破りな言動がたびたび物議を醸し、いつしか画壇の周縁へと追いやられ、歴史の記述から消えていった。

会場展示風景より

 この知られざる三兄弟の作品の革新性と魅力を紹介する展覧会「オタケ・インパクト ―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム」が泉屋博古館東京で始まった。東京初の大回顧展には代表作のほか、東京での初公開や本展準備中に発見された作品、そして未公開資料も多数集結。岡倉との衝突で展覧会から撤去された幻の作品《絵踏》も修復されて初公開となる。そのインパクトは、現代でも強烈で日本画の概念を広げてくれると同時に、「展覧会制度」の光と影に翻弄された画家の姿も浮き彫りにする。

 展覧会は編年の4章に特集展示の5セクションで構成。各章のタイトルは、三兄弟にまつわる言葉を引いているので、その意味とともに作品を追いたい。なお、展覧会出展作を中心とした大作が多く、前後期で大幅な展示替えとなるので留意してほしい。

会場展示風景より

編集部

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