「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」(町田市国際版画美術館)レポート。20世紀の光と影を版画表現で追う

約100年前、ふたつの大戦をはさんだ約20年間に生み出された版画作品に焦点を当てた展覧会が町田市国際版画美術館で開催されている。近代化による繁栄と戦争の空気を鋭くとらえたアーティストたちが表した「モダニズム」は、現代に何を問いかけるのか。

文=坂本裕子

「3-3 シュルレアリスム:版に刻まれた偶然、幻視、強迫観念」展示風景より、マックス・エルンストのコラージュ・ロマンとマン・レイの『回転扉』

「モダニズム」がもたらしたもの

 近代化により西欧を中心に経済、産業、文化が大きく進展した20世紀は、生活が一変し、娯楽や消費も活発になった時代。いっぽうで、経済格差の拡大、列強の軍事強化などがふたつの世界規模の戦争をもたらし、「戦争の世紀」とも呼ばれる。

 表現者たちは、都市の繁栄や喧騒、人々をとらえ、新しい技術を讃えると同時に、その影にある貧困や、人々の不安感、そして戦争の恐怖、悲惨を表した。

 第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間となる約20年、モダニズムの時代を版画に表したアーティストたちの作品約230点を展覧する「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」が町田市国際版画美術館で始まった。4つの章にはテーマのほかに、「版画作品と雑誌・挿絵本」「抽象と具象」「新旧の版画技術」といった要素が織り込まれ、重層的な切り口と多彩な版画表現から時代を感じる空間になっている。

会場1階の壁面案内

編集部

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