「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」(町田市国際版画美術館)レポート。20世紀の光と影を版画表現で追う【2/5ページ】

「ベル・エポック」に感じる予兆。1.「両大戦間」に向かって:Before 1918

 19世紀末から20世紀初頭、ベル・エポック(美しい時代)と呼ばれた第一次世界大戦勃発前夜の作品をみていくプロローグ。

 芸術の都パリでは華やかな都市文化が開花する。多色刷りリトグラフのポスターが街を彩り、キャバレーやカフェがにぎわういっぽう、貧困や退廃も深まる様相を、黒白の版画に皮肉を交えて表したのがフェリックス・ヴァロットンだ。雑誌ではアンドレ・エレやテオフィル・アレクサンドル・スタンランらが、社会を風刺した挿絵を描いた。こうしたまなざしは、1914年の戦争勃発を機に、その無残さを描き出したオットー・ディックスや、人々の苦しみを伝えたジョルジュ・ルオーらが引き継いで、初の近代戦争の衝撃を伝える。

「1-1 ベル・エポックの光と闇:ヴァロットンとその時代」展示風景より、フェリックス・ヴァロットンの版画とポスター展示
展示風景より、ジョルジュ・ルオー『ミセレーレ』(1922-27[1948刊]、町田市国際版画美術館)

編集部

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