マーケットの裾野を広げるための試み
今年からの試みとして、20世紀を中心に活躍したアーティストを、個展形式でプレゼンテーションする「Spotlight」も開催されている。LINE文化財団のディレクターを務めるコ・ウンソクのキュレーションのもと、西洋中心の美術史観とは異なる作家をマーケットに紹介しようという試みだ。


大阪を拠点とするYOD Galleryは、「もの派」の源流をかたちづくったひとりである関根伸夫を出展。また、ソウルのBaik Art Galleryは、韓国初のリアリズム写真団体「新線会」のメンバーとして経済成長期の韓国の都市と人々を写したハン・ヨンス(韓栄洙)を紹介していた。

釜山のギャラリーマックは、50年以上にわたり、現代美術の分野で活動してきた美術家、キム・ジョンミョン(金正明、1945〜)を出展。本展では西洋美術史の巨匠たちのイメージや肖像と自らの色彩・絵の具の物質性を融合させた「彫刻的絵画(Sculptural Painting)」がインスタレーションとして展開された。

「Material Practice」も新たに設けられたセクションだ。韓国工芸デザイン文化振興院の事務局長を務めていたチョ・ヘヨンのキュレーションにより、美術と工芸が交差する領域にある作品を紹介していた。例えば、韓国の伝統文化を現代の生活様式に合わせて継承することを目的としたアルムジギ財団のブースは、邸宅内の部屋を思わせる什器が用意され、実際の生活のなかで出展作品を使用するイメージを喚起させていた。

「Spotlight」と「Material Practice」に、多くの人が集まっていたことも印象的だった。前者は美術史において確実に評価されていくであろう作家との出会いを、後者は生活のなかで表現されたものを愛用するイメージを喚起させる企画と言えるだろう。アートフェアで作品を購入するという体験の入り口づくりを、フリーズ・ソウルが強く意識していることがうかがえた。
5年目の開催となり、ソウルのアートウィークを象徴するイベントして定着したフリーズ・ソウル。市場の動向を見つめながらも、マーケットの底上げをするために間口を広げることを決して怠らないようにしようという、明確な方向性を感じるフェアとなっていた。



















