全5章でたどる「水滸伝」の世界と展開
展示は全5章で構成される。まず第1章「梁山泊へようこそ」では、歌川国芳が躍動感あふれるタッチで描いた「梁山泊の世界」を紹介。出世作「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)」シリーズより、現在確認されている全74枚を一挙に公開する。
続く第2章「豪傑たちの生きた時代」では、『水滸伝』の豪傑たちが誕生した背景にあった社会の矛盾に着目。繁栄と不穏が交錯する北宋時代末期の世界を、宮廷文化やゆかりの文物を通してたどっていく。


フィクションである『水滸伝』は、1121年に徽宗朝で起きた宋江の反乱を題材に誕生した。やがて本作に触発された作品群が、中国国内のみならず日本でも花開く。第3章「武侠小説・水滸伝の誕生と流行」では、『忠義水滸全伝』(明代末、17世紀)をはじめ、『水滸伝』のスピンオフとして書かれた『金瓶梅』の改訂版である『新刻繍像批評金瓶梅』(明代末、17世紀)、そして日本の絵師が中国の水滸伝群像を模写した作品などを展示。『水滸伝』がどのように生まれ、広まり、多層的なイメージを纏っていったのかを俯瞰する。

第4章「拡張する英雄像」では前章に引き続き、日本へもたらされた17世紀以降の展開に焦点を当てる。図像表現の先駆けとなった曲亭馬琴作・葛飾北斎画『新編水滸画伝』をはじめ、国芳による多彩な表現、さらには馬琴の『南総里見八犬伝』への展開までを追う。あわせて歌舞伎、狂画、遊女を豪傑になぞらえた錦絵、双六や半纏なども紹介し、『水滸伝』のイメージがいかに人々の日常へ浸透していたかを提示する。


最終章となる第5章「忠義のゆくえ」では、『水滸伝』が現代日本の文化・芸術のなかでどう解釈され、忠義や抵抗といった主題がいかに変容したかを探る。会場では、物語を彩った挿絵やマンガ原画、美術家・白髪一雄(1924〜2008)のアクション・ペインティング、連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』の衣裳、現代美術家・小林勇輝(1980〜)のパフォーマンスなど現代における多様な広がりを紹介する。

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