ワタリウム美術館で「ワン・シュウ+ルー・ウェンユー展 建築すなわち庭」が開催。中国を代表する建築家ユニット、日本初の本格展覧会へ

東京・外苑前のワタリウム美術館で、建築家の王澍(ワン・シュウ)と陸文宇(ルー・ウェンユー)の日本で初めてとなる本格的な展覧会「ワン・シュウ+ルー・ウェンユー展 建築すなわち庭」が開催される。会期は12月4日〜2027年3月28日。

寧波博物館(2008竣工、浙江省寧波市) 撮影:富井雄太郎

 東京・外苑前のワタリウム美術館で、建築家の王澍(ワン・シュウ)と陸文宇(ルー・ウェンユー)の日本で初めてとなる本格的な展覧会「ワン・シュウ+ルー・ウェンユー展 建築すなわち庭」が開催される。会期は12月4日〜2027年3月28日。

 急速な都市化と経済成長が進む現代中国において、独自の建築実践を続けてきた王澍と陸文宇。2人が掲げる「建築すなわち庭(建築即園林)」という思想は、中国の伝統的な庭園である「園林」への深い洞察から生まれたものだ。解体された村落から集められた瓦やレンガ、土、木、竹といった素材を用い、自然と人工、過去の記憶と現代の都市生活を交差させる試みは、建築の新しい可能性を提示し続けている。

中国国家版本館杭州分館(2023竣工、浙江省杭州市) 撮影:富井雄太郎
太湖洞(たいことう)中国伝統庭園(園林)の太湖石の奇岩をイメージしてファサードに穿たれる自由な開口 撮影:富井雄太郎
瓦爿壁(わーぱんへき)解体された集落から廃棄されたレンガや瓦を集め再組積してつくられるファサード

 王澍(1963〜)と陸文宇(1967〜)は、1997年に中国・杭州で「アマチュア・アーキテクチャー・スタジオ(業余建築工作室)」を共同設立。「アマチュア」という名称には、市場の速度や巨大な設計組織に従うのではなく、伝統的文人のように自らの「内的な基準」に従って建築を構想するという批評的な態度が込められている。

 代表作には「中国美術学院象山キャンパス」「寧波博物館」「文村リノベーション」「杭州国家版本館」などがある。2012年には王澍が中国大陸出身の建築家として初めてプリツカー賞を受賞。さらに、2027年に開催される第20回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展では2人揃って総合キュレーターを務めることが決定しており、世界的な評価を確立している。

3層の館内を「庭」に見立てる

 本展では、ワタリウム美術館の3層にわたる立体的な空間を活かし、観覧者が「庭」を散策するように2人の建築世界を体感できる構成となる。展示は主に、原寸モックアップ、図面・建築模型・スケッチ、映像・写真資料、茶室の4つの要素で構成される。

 手触りを感じさせる物質性と伝統の現代的読み替えを特徴とする2人の作品世界を伝えるため、会場には作品に用いられてきた木架構や竹、土の壁の原寸モックアップを展示。素材の重さや粗さ、温度を身体的な距離感で体験できるほか、瓦やレンガ、木、竹などのマテリアル・パレットである「材料板」を通じて、素材がどのように空間をつくり出しているかを紹介する。

ドローイング 中国美術学院象⼭キャンパス[第2期](2005)紙に鉛筆 64.9×22.8cm
文村リノベーション(2016竣工、浙江省杭州市) 撮影:富井雄太郎

 あわせて、手作業による膨大なスタディの過程を示す初期スケッチやコンセプト模型、完成図面も公開。さらに、本展のために新たに撮影された作品写真や映像資料によって、目まぐるしい現代都市の時間とは異なる独自の時間の流れを伝える。

中国美術学院象⼭キャンパス[第2期](2007竣工、浙江省杭州市) 撮影:富井雄太郎

 また、2人の拠点である浙江省杭州市の茶文化に着目し、4階展示室には竹や木材のプレファブ・ユニットで構成された本展オリジナルの現代茶室を設置。鑑賞者がリラックスできる空間として実際に開放される予定だ。

 そのほか、開幕直後の12月初めには日本の建築家を迎えたシンポジウム「建築すなわち庭」が開催されるほか、最初期から最新作までを総覧する作品集の刊行も予定されている。

編集部

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