EXHIBITIONS

草間彌生 わが永遠の魂

2017.02.22 - 05.22

草間彌生 いまわしい戦争のあとでは幸福で心が一杯になるばかり(「わが永遠の魂」シリーズより) 2010

草間彌生 行こう、空の彼方へ(「わが永遠の魂」シリーズより) 2014

草間彌生 しのびがたい愛の行方(「わが永遠の魂」シリーズより) 2014

草間彌生 生命の輝きに満ちて 2011 Courtesy of Ota Fine Arts, Tokyo / Singapore; Victoria Miro Gallery, London; David Zwirner, New York © YAYOI KUSAMA

草間彌生 自殺した私 1977 東京都現代美術館蔵

 水玉や網目模様がキャンバス一面に描かれた絵画や、かぼちゃをモチーフとした彫刻、鏡を用いたインスタレーション作品などの多彩な作品で知られる草間彌生。草間は2016年、アメリカ『タイム』誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に日本人で唯一選ばれるなど、世界的に高い知名度を誇る作家の一人でもある。このたび、草間の国内過去最大規模の個展が開催される。

 1929年長野県に生まれた草間は、10歳の頃より水玉と網目模様をモチーフに絵を描き始める。50年代には長野で個展を開催するが、しだいに国内での活動に限界を感じ、57年単身で渡米。翌年ニューヨークに移住し、作品制作を開始する。小さな網目状のストロークで巨大なキャンバスを埋め尽くしたモノクロームのネット・ペインティングは高い評価を受け、その後は男根状の突起を家具などに貼り付けたソフト・スカルプチュアなど、同一物を集積・反復させる、あるいはオブジェやイメージで空間を埋め尽くす作品やハプニング(パフォーマンス)を発表。強迫観念を主題とした先駆的な作品を次々発表し、注目を集めた。

 体調不良をきっかけに73年帰国した草間は、入院生活を送りながら活動を再開。水玉、ネット、男根状のモチーフを大胆に再解釈し、具象的なイメージと組み合わせた色彩豊かな絵画や彫刻、インスタレーションなどを制作。さらにはコラージュ、版画、文学作品など、新たな試みにも挑戦。現在までに、他分野とのコラボレーションやタイアップを数多く行ってきた。

 今回の展覧会で中心となるのが、2009年より描き続けられる大型絵画の連作「わが永遠の魂」だ。正方形のキャンバスにアクリル絵具で色彩豊かに彩られた本作は現在約500点にもおよび、本会場では厳選した約130点が日本初公開される。具象と抽象を自在に往還するその作品は、約70年間の活動の集大成ともいえるだろう。

 本展は初期作から最新作を通して草間の軌跡と全貌、作品で表現してきた「永遠」を私たちに伝える。