滋賀県大津市の滋賀県立美術館で、73歳で初めて絵筆を執った画家・丸木スマの個展「丸木スマ展 73歳からのアーティスト」が開催される。会期は9月11日〜11月23日。

丸木スマは1875年広島県生まれ。農作業や船宿業に従事し、長年家族の暮らしを支えたのち、70歳のときに爆心地から約2.5キロの自宅で被爆。その翌年には夫と死別するという過酷な体験をする。終戦から3年が経った1948年、長男の丸木位里とその妻・丸木俊の勧めにより、73歳で初めて絵を描き始めた。身近な自然や生き物を独自の色彩と構図で描き、50年以降には女流画家協会展や再興日本美術院展などで入選を重ね、70代にして異例の画壇デビューを飾る。81歳で没するまでの9年ほどの間に700点以上もの作品を残した。近年では、 2008年に埼玉県立近代美術館、11年に原爆の図 丸木美術館、17年に一宮市三岸節子記念美術館、21年にベルナール・ビュフェ美術館などで個展が開催されている。
初期から晩年までの画業を辿る
本展では、スマの初期から晩年までの作品や関係資料など約130点が展示される。最晩年の大作《簪》(1955)をはじめ、花や野菜、身近な動物たちが画面いっぱいに描かれた「曼荼羅」とも評される躍動感あふれる絵画が一堂に会する。また、スマに絵を描くきっかけを与えた息子の位里や俊をはじめ、安田靫彦や金島桂華といった日本画家、柳宗悦や式場隆三郎ら民藝運動の文化人たちがスマに送った視線や評価の背景を、家族の歩みを伝える写真や当時の貴重な資料とともに紐解いていく。さらに、自由で明るい作風の背景にある凄惨な戦争体験にも焦点を当て、2017年に発見された《ピカドン》(制作年不詳)など数少ない原爆を描いた作品をスマ自身の言葉とともに紹介し、過酷な体験を経てなお創作活動を続けた意味を問い直す。



会場の最後には、丸木俊の著作名に由来する体験型ワークショップコーナー「絵ハ誰デモ描ケル」が設置され、子供から大人まで表現の楽しさを体感できる仕掛けが用意されている。子供向けガイドや託児サービス付きの講演会、ギャラリートークなども準備され、多角的なアプローチからスマの魅力に迫る内容となっている。

























