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「笹岡由梨子のパラダイス・ダンジョン」(滋賀県立美術館)開幕レポート。唯一無二の世界観が織りなす、不気味で愛おしい人形と映像の関係性に迫る

滋賀県立美術館で、笹岡由梨子の初のとなる美術館での個展「笹岡由梨子のパラダイス・ダンジョン」が開幕した。会期は3月22日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、《ラヴァーズ》(2024)。本作は、笹岡と暮らす愛猫が去勢手術を受けたことをきっかけに、その悲しみを供養するかのように制作された、「愛」をテーマとした作品だ

 滋賀県立美術館で、笹岡由梨子にとって初の美術館個展となる「笹岡由梨子のパラダイス・ダンジョン」が開幕した。会期は3月22日まで。担当学芸員は荒井保洋(滋賀県立美術館 主任学芸員)。

 笹岡由梨子は1988年大阪府生まれ。2014年に京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程メディア・アート領域を満期退学した。2011年より映像表現を用いた制作を開始し、「京都府文化賞奨励賞」(2020)、「咲くやこの花賞」(2020)、「Kyoto Art for Tomorrow 2019―京都府新鋭選抜展 最優秀賞」など、これまでに多数の賞を受賞している。現在は滋賀県を拠点に活動中。

展示風景より、笹岡由梨子と《ラヴァーズ》(2024)

 笹岡作品の特徴としてまず挙げられるのは、コミカルさと不気味さが同居する、独特の世界観だろう。一度目にすると強く印象に残り、長く記憶にとどまる点も魅力のひとつだ。映像作品の内外には、笹岡自身が演じる、あるいは顔や身体のパーツを用いたキャラクターが登場し、「愛」や「家族」をテーマにした愉快な歌を歌っている。強烈なビジュアルと、楽しげでありながらどこか不穏さを帯びたメロディが、鑑賞者の注意を引きつける。

 本展では、笹岡作品における「人形と映像表現」の関係性に焦点を当て、その変遷をたどることを試みる。会場には、最初期の作品から近作、さらに本展のために制作された新作までの全10シリーズが並んでおり、不気味さのなかに親しみやすさも感じられる笹岡の世界観を、様々な角度から体感できる内容となっている。

 展覧会の開幕にあたり、同館ディレクターの保坂健二朗は次のようにコメントしている。「関西を拠点とする若手作家の個展は、当館としてもとくに実現したかった企画だ。笹岡さんの個展はその第1弾にあたる。作家にとって初めての美術館個展の場になればと思うと同時に、互いに成長していく機会をつくれたらと考えている」。

編集部

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