今週末に見たい展覧会ベスト18。学習院の新ミュージアムから大覚寺、パウル・クレーにロバート・キャパまで【8/8ページ】

「春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵」(府中市美術館

春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵

 東京・府中の府中市美術館で「春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵」が開催される。会期は3月15日~4月13日。

 油絵といえば「西洋のもの」というイメージがあるが、江戸時代の日本でもオランダや中国を通じて、少ないながらも油絵が輸入され、それをまねて描く画家がいた。その代表的な画家が、司馬江漢(1747〜1818)と亜欧堂田善(1748〜1822)だ。ただし、ふたりの油絵はよく知る油絵とは異なる。荏胡麻の油などを使って自分で調合した絵具で、日本で古くから使われてきた薄くて繊細な絵絹に描いているので、滑らかでさらりとして、明朗かつ落ち着きのある色をしている。

 府中市美術館では様々な展覧会でふたりの油絵を紹介してきたが、鑑賞者からよく聞こえてきたのが「かっこいい」という言葉だったという。本展では、油絵だけでなく銅版画や、墨や在来の絵具を使った作品も紹介する。そしてふたりの生い立ち、画家としての立場や環境の違い、目指すものの違いにも注目。科学者であり文人でもあった司馬と、幕府老中もつとめた白河藩主松平定信のもとで黙々と技術を極めた亜欧堂。ふたりの違いが作品にどう表れているかも見所となりそうだ。

会期:[前期]2025年3月15日~4月13日、[後期]2025年4月15日~5月11日
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内)
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00(入場は入場の30分前まで)
休館日:月(5月5日は開館)
観覧料:一般 800円 / 高校・大学生 400円 / 小・中学生 200円 / 未就学児 無料

「ロバート・キャパ 戦争」(東京都写真美術館

ロバート・キャパ 「Dデー作戦」でオマハ・ビーチに上陸する米軍、ノルマンディー、フランス 1944 東京富士美術館所蔵

 東京・恵比寿の東京都写真美術館で20世紀を代表する写真家のひとり、ロバート・キャパの写真を紹介する「ロバート・キャパ 戦争」が開催される。会期は3月15日〜5月11日。

 20世紀が生んだ偉大な写真家のひとり、ロバート・キャパは「カメラの詩人」と言われ、またすぐれた「時代の証言者」でもあった。1930年代ヨーロッパの政治的混乱、スペイン内戦でドイツ・イタリアのファシスト政権に支援されたフランコ将軍の反乱軍によって次第に圧倒されて敗北する共和国政府軍、日本軍による中国の漢口爆撃、第二次世界大戦で連合軍の対ドイツ反攻作戦の始まる北アフリカから、イタリア戦線、ノルマンディー上陸作戦などの戦闘現場に立ち会い、命がけの取材写真は眼に見える確かな記録を残した。

 本展では、東京富士美術館が所蔵するキャパの約1000点のコレクション・プリントから、“戦争”に焦点を当てた作品約140点を厳選して展示する。

会期:2025年3月15日~5月11日
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00(木金〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、5月5日は開館)、5月7日
観覧料:一般 1200円 / 学生、65歳以上 1000円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料

「生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋-木と漆と螺鈿の旅-」(豊田市美術館

「生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋-木と漆と螺鈿の旅-」(京都国立近代美術館)展示風景

 愛知・豊田の豊田市美術館で「生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋-木と漆と螺鈿の旅-」が開催される。会期は3月15日~5月18日。本展は京都国立近代美術館からの巡回となり、京都会場のレポートはこちら

 1904年に京都の祇園清井町に生まれた黒田辰秋は、幼いころから父が営む塗師屋の職人仕事に親しんでいたが、当時の分業で行う漆工芸の制作体制に疑問を持ち、素地づくりから加飾までを一貫制作する独自の制作スタイルを確立した。過去の作例に学びながら独創性を開花させ、30年代から40年代にかけては、日本伝統工芸展を活躍の場として、拭漆や耀貝(メキシコ鮑)による螺鈿をもちいて、多彩で力強い独自の境地に達している。1970年には木工芸の分野において初めてとなる重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

 黒田の生誕120年を記念した本展では、日本の工芸史に確かな足跡を残したその生涯を、初期から晩年までの代表作を通じて紹介する。 

会期:2025年3月15日~5月18日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話:0565-34-6610
開館時間:10:00~17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(4月28日、5月5日は開館)
観覧料:一般 1200円 / 高校・大学生 1000円 / 中学生以下 無料

編集部

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