光が描く鉄とガラスの物語。青木野枝と三嶋りつ惠の2人展が東京都庭園美術館で開催へ

東京都庭園美術館で、展覧会「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」が11月30日〜2025年2月16日の会期で開催される。歴史ある館の装飾空間と現代アートが交差し、新たな視覚体験が広がる展示となる。

メインビジュアル

 東京都庭園美術館で、展覧会「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」が開催される。会期は11月30日〜2025年2月16日。

 本展では、現代美術の第一線で活躍を続ける2人の作家、青木野枝三嶋りつ惠が作品を通して光と空間を新たにとらえ、庭園美術館のアール・デコ様式の建物と融合させた特別なインスタレーションを展示する。

 青木は、鉄を使った彫刻作品を通じて空間に「線」を描き、鉄という重い素材から透明感を引き出す独自の表現を展開してきた。いっぽうで三嶋は、無色透明のガラス作品を用いて光の輪郭を浮かび上がらせ、場のエネルギーを繊細に掬い取る作品を手がけている。鉄とガラスという、ともに長い歴史を持ち、自然の恵みを象徴する素材は、展覧会の会場である旧朝香宮邸の装飾にも多用されており、この場所の装飾と新たな作品が時空を超えて響き合うかたちで展示される。

 旧朝香宮邸は、1933年にフランスのアール・デコ様式を取り入れて完成した邸宅で、装飾にはルネ・ラリックやレイモン・シュブらによる鉄とガラスがふんだんに使用されている。この歴史的な建物に、青木と三嶋の作品が配されることで、素材が持つ本来の力が引き出され、過去と現在が共鳴する特別な空間が生まれる。また、2人の作品は、時間や季節の移り変わりに伴い、自然光や室内照明によって異なる表情を見せ、訪れる者につねに新たな視覚体験をもたらすことが期待される。

 さらに、本展では新作の展示に加え、作家インタビューや制作過程を追った映像なども紹介され、2人の創作に対する現在の視点や考えにふれることができるだろう。

編集部

Exhibition Ranking