東京・目黒の東京都庭園美術館で年に1度開催される建物公開展「建物公開2024 あかり、ともるとき」が開催中。会期は11月10日まで。
1933年に朝香宮邸として竣工したアール・デコ様式の建物が、美術館として開館したのが83年のこと。広い芝の庭に面したこの建物は東京都庭園美術館と名づけられ、邸宅の特徴的な空間と調和する展示の数々が行われてきた。同館では年に1度、美術作品を展示しない建物公開展が開催される。今年は「建物公開2024 あかり、ともるとき」として、天井や壁面に据えられた「照明」に焦点が当てられている。その多くが、旧朝香宮邸のために制作されたオリジナルのもの。1階大広間から見ていきたい。
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旧朝香宮邸の主要な7部屋の室内装飾を手がけたのは、フランスの装飾美術家であるアンリ・ラパン。画家としてキャリアをスタートしたのち、アール・デコにインスパイアされたデザインの数々を残したアーティストだ。約90センチメートル四方の格子に円のくぼみが収まるラパンによるデザインの大広間照明は、40個の電球が整然と配置され、シンメトリーな空間を柔らかく照らす。旧朝香宮邸において、ラパンは大広間横に設置された《香水塔》やいくつかの家具デザインも手がけていた。
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