イプセンとムンクのコラボレーションを「演劇」で。劇場と美術館を横断する鑑賞体験はどう作用するか?

演劇作品 『ムンク|幽霊|イプセン』が、愛知県芸術劇場と愛知県美術館で上演される。本作は、ノルウェー出身の劇作家ヘンリック・イプセンの戯曲『幽霊』と、これをモチーフに同郷の画家エドヴァルド・ムンクが描いた絵画《イプセン『幽霊』からの一場面》のコラボレーションだ。上演期間は2020年1月8日~13日。

エドヴァルド・ムンク イプセン『幽霊』からの一場面 1906 愛知県美術館蔵

 演劇作品 『ムンク|幽霊|イプセン』が、愛知県芸術劇場と愛知県美術館で上演される。本作は、ノルウェー出身の劇作家ヘンリック・イプセンが愛のない結婚をセンセーショナルに描いた戯曲『幽霊』(1881)と、これをモチーフとした同郷の画家エドヴァルド・ムンクの絵画《イプセン『幽霊』からの一場面》(1906)のコラボレーションだ。上演期間は2020年1月8日~13日。

 公演の構想は、16年に同館が《イプセン『幽霊』からの一場面》を購入した時点からスタート。本作の演出を担当する第七劇場代表の鳴海康平を加え、協議を重ねた結果、本戯曲/絵画をテーマに劇場で演劇作品を、美術館でモノローグの演劇作品を上演することになったという。

ヘンリック・イプセン
エドヴァルド・ムンク

 公演に向けて、イプセンの戯曲『人形の家』(1870)を上演した経験を持つ鳴海は、次のようにコメントしている。「生まれ故郷のノルウェーが生んだ2人の巨匠・ムンクとイプセンは互いに才能を持っていますが、同時代においてはなかなか認められることのない2人でした。『幽霊』を通して、ふたりをつなぐ幽霊の正体や考え方、想いを伝えて新たな『幽霊』を表現したいです」。

 因習や慣習、愛や結婚、義務と自由などにおける伝統的な価値観が、幽霊のように浮かび上がる様子を描いた本戯曲/絵画。ふたりの巨匠が残した作品をもとに生み出された劇場と美術館を横断する鑑賞体験は、見る者にどう作用するだろうか。

編集部

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