上演時間7時間におよぶ演劇超大作。カナダ人演出家ロベール・ルパージュが描く「HIROSHIMA」を中心とした20世紀人類史

カナダ人演出家、ロベール・ルパージュによる演劇超大作『HIROSHIMA 太田川七つの流れ』が、東京オリンピック・パラリンピックの開催直前となる2020年7月に、渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演されることが決定した。

2019年9月ケベック公演より (C)Elias Djemil Matassov

 世界の舞台芸術を牽引するカナダ人演出家、ロベール・ルパージュによる演劇超大作『HIROSHIMA 太田川七つの流れ』が、東京オリンピック・パラリンピックの開催直前となる2020年7月に、渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演されることが決定した。

 本作は、1992年の広島滞在時にルパージュが、原爆投下から見事な復興を遂げた同地の生命力に触発され、市街を流れる太田川の7つの支流(現在は6つ)に擬えて創作した一大叙事詩。劇中では、英語、フランス語、ドイツ語、日本語など、異なる言語を持つ登場人物が出会い、原爆のみならずホロコーストやAIDS、安楽死など、時代を象徴する様々なエピソードが展開される。

 劇中劇や生演奏、オペラ、映像、舞踏など多様な表現方法を用いて、和洋それぞれの文明が渦巻く様子を描いた本作は、94年にエディンバラ・フェスティバルで3部作として初演。それ以来、上演を繰り返しながら新たな場面を増やし、全体を更新していくワーク・イン・プログレス形式で展開されてきた。95年のシアターコクーンでの上演時には5部作、96年には上演時間7時間におよぶ7部作として完成。世界各地を巡演し、演劇史の伝説として今日まで語り継がれている。

 今回、戦後75年の節目と東京オリンピック・パラリンピックを同時に迎える20年の日本で上演を行うため、本作のプロジェクトが再始動。95年のシアターコクーンでの上演から四半世紀を経て、完全版の凱旋上演となる。

ロベール・ルパージュ © V. Tony Hauser

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