今現在の「日常」とは何か。小金沢智 評「土祭2021 アラワレル、未知ノ日常。」

2009年に窯業と農業の里・栃木県益子町で始まり、今年で第5回目の開催を迎えた「土祭(ヒジサイ)」。行政と住民が協働でつくりあげる、益子の風土に根ざしたこの芸術祭のなかで、益子在住の作家・藤原彩人が「感性の土壌」をテーマにキュレーションしたアート部門の展示を、東北芸術工科大学で教鞭をとるキュレーター・小金沢智がレビューする。

REVIEW

MoMAが「Scholars in Residence」プログラムを設立。研究者3名を1年間招聘し、約2100万円の助成金を支給

ニューヨーク近代美術館(MoMA)が「Scholars in Residence」プログラムを設立した。フォード財団の助成を受けたこのプログラムでは、実績のある中堅・ベテランの研究者3名を1年の任期で招聘し、歴史的にあまり知られていないアーティストなどに焦点を当てた研究を行うことを目指している。

NEWS / HEADLINE

第44回

書評:デジタル・グローバリゼーション時代におけるアートの機能とは。『デューティーフリー・アート:課されるものなき芸術』

雑誌『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本から注目の図録やエッセイ、写真集など、様々な書籍を紹介。2021年12月号の「BOOK」2冊目は、アーティストのヒト・シュタイエルが、高度にコンピュータ化された時代のアート・政治・テクノロジーの交差を論じる『デューティーフリー・アート:課されるものなき芸術』を取り上げる。

SERIES / BOOK

音楽が聞こえる。山峰潤也評 高田冬彦「LOVE PHANTOM 2」

エロティックな表現や荒唐無稽な物語を折り込みながら映像作品をつくる高田冬彦。WAITINGROOMで行われた個展「LOVE PHANTOM 2」では思春期の少年の性をテーマにした新作映像『The Princess and the Magic Birds』ほか2点の新作を展示した。宗教や神話、性、ジェンダー等のテーマが入り混じった同展を、ANB Tokyoディレクターでキュレーターの山峰潤也がレビューする。

REVIEW

LACOSTEがオンラインギャラリーをオープン。収益のすべてを提携団体に寄付

機会均等の支持を目的としてフランスのライフスタイルブランド「LACOSTE(ラコステ)」が、オンラインギャラリー「ラコステギャラリー」をオープンさせた。ヴィンテージポスターや初代クリエイティブディレクターによるデザインなどの作品を販売し、その収益のすべてをラコステ財団の提携団体に寄付するという。

NEWS / HEADLINE

「パルナソスの池」の新展開。「池袋モンパルナス 2.1」展が4会場で同時開催

アーティストコレクティブ「パルナソスの池」が、昨年に続いて池袋を舞台にしたアートプロジェクト「池袋モンパルナス 2.1 -水脈を巡って-」を開催する。「池袋モンパルナス」と呼ばれる東京の要町・椎名町・南長崎エリアに張り巡らされた文化の水脈をたどるような展覧会を4会場で同時多発的に行う。

NEWS / EXHIBITION

ニュー・ペインティングの反復が見せるものとは。清水穣評 オスカー・ムリーリョ「geopolitics(manifestations)」展

コロンビア出身のアーティスト、オスカー・ムリーリョは絵画やドローイングをはじめ、彫刻、映像、共同プロジェクトなど多様な手法を用いて制作を行ってきた。タカ・イシイギャラリーで開催された個展「geopolitics(manifestations)」では、様々な要素のコラージュによる力強い新作ペインティングを発表。1980年代のニュー・ペインティングの反復ともとらえられる作品群は現代において何を示唆するのか、清水穣がレビューする。

REVIEW

内と外のふたつの視点から解読する。中島水緒評 中島りか「I tower over my dead body.」展

代々木駅前にあるギャラリー「TOH」。そこでタロットカードの「塔」をテーマにした「セラピー」型の作品を中心にした中島りかの個展が開催された。代々木駅という立地やタロットカードというキーワードから、美術批評の中島水緒が、展覧会の内側と外側、両方向から見たレビューを展開する。

REVIEW

「立候補」という行為に泡沫の美を見出す。椹木野衣評 「秋山祐徳太子と東京都知事選挙」展

グリコのランナー姿で走る《ダリコ》など「ポップ・ハプニング」と称するパフォーマンスや、2度にわたる東京都知事選挙への立候補で知られる美術家の秋山祐徳太子。その東京都知事選に関する資料を集めた展覧会「秋山祐徳太子と東京都知事選挙」が、ギャラリー58で開催された。秋山が政治という形式に何を見出したか、そして何を目指したのか、椹木野衣が論じる。

REVIEW

アートは驕るな~地域とアートの関係を「山口ゆめ回廊博覧会」に見る

「山口ゆめ回廊博覧会」の一環として、山口県宇部市にあるときわ遊園地を舞台に、メディア・アートで遊園地を彩る「TOKIWA ファンタジア 2021」が開催されている。アートが遊園地と溶け込むようなこのイベントを通じて見えてきた、観光事業におけるアートのあるべき立ち位置とは?

NEWS / REPORT

PREMIUM

「アートをより身近なものに」。K11創設者、エイドリアン・チェンが目指す世界とは?

アジアを拠点にミュージアムやアート・ビレッジなどを運営している「K11」ブランドの創設者であり、『ArtReview』誌の「Power 100」ランキングに8年連続ランクインされているアート界のビッグプレイヤーであるエイドリアン・チェン。K11の展示企画や今後の計画などについて、エイドリアンにメールインタビューを行った。

INTERVIEW

ジョナス・ウッドはなぜ「インテリア」を描き続けるのか。「尽きることのない、絵のアイデアの宝庫」

果物や植物など様々な室内空間を描いており、またテニスやバスケットボールなどスポーツをモチーフにした作品で知られるアーティスト、ジョナス・ウッド。その新作展が11月23日からガゴシアン香港で開催されている。本展を機に、ジョナス・ウッドに制作プロセスや作風の変化などについてインタビューを行った。*The English version is below the Japanese.

INTERVIEW

テキスタイルの町・富士吉田から、アート×産業の新たな可能性を発信。「FUJI TEXTILE WEEK 2021」が開幕

織物で知られる山梨県富士吉田市で、「織りと気配」をテーマに町のテキスタイル産業とアート表現の創造的な対話から、未来の産業とアートの新しい可能性を見いだす「FUJI TEXTILE WEEK 2021」がスタートした。10組の現代アーティストと富士吉田の16の機屋(はたや)が町を展示空間に多様に展開する。

NEWS / REPORT

PREMIUM

新しくてインターナショナルな「日本人」アーティストコミュニティをつなぐギャラリスト達

ニューヨークとボルチモアにある2つのギャラリーで、日本人・日系人作家達によるグループ展「スウィートホーム Sweet Home」が同時開催された。これまでの「日本人らしさ」とは異なるかたちで10名の作家をプレゼンテーションした本展から見えてくる、新世代の可能性とは?

INSIGHT