新型コロナウイルス感染症によって大きなダメージを受けた文化芸術活動。活動自粛や中止は表現の担い手の雇用や育成にも大きな影響を及ぼしている。
文化芸術の仕事は、以前よりキャリアアップやスキルアップがしづらいという実態があったが、コロナ禍によりそれは不安定となり、人生設計がしづらいという課題もより顕著になった。こうした背景のもと、文化芸術の担い手の雇用や育成の課題解決を図ることを目的に、日本初のアートの働き方に特化したジョブフェア「ART JOB FAIR」を立ち上げるためのクラウドファンディングがスタートした。
「ART JOB FAIR」を企画したのは「瀬戸内国際芸術祭」の準備や直島、豊島、犬島の美術館の立ち上げなど様々な地域のアートプロジェクトに長年に携わってきた高山健太郎が設立したアート事業会社の株式会社artness。高山によると、文化芸術を支える担い手の雇用や育成には、現在様々な課題が存在しているという。
例えば、希望の職種や人材を見つけることが極めて困難であり、インターネットの膨大な情報のなかで希望通りにマッチングしにくいのが現状だ。また、キャリアップやスキルアップがしづらく、担い手が増えないことも課題となっている。アートを支える仕事は、契約社員やアルバイトといった、期限が定まった働き方が多く、生涯にわたって安定的に続けることは容易ではない。
こうした課題とその解決を図る方法を考え続けた結果たどりついたのが、「ART JOB FAIR」の構想だ。「アートの働き方に光をあて、未来のアートの仕事を考える」というビジョンのもと、立場や経験の異なる多種多様な人たちが集うことを目指し、2023年1月に「KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS」を会場として2日間の開催を計画。働き方を紹介する展示や説明会、トークイベントなどが予定されている。
このフェアの開催には、基本的な運営費用・会場費用などに加え、初年度である今年は情報発信や広報に多くの力が必要のため、今回のクラウドファンディングがスタートした。今後、毎年開催を目指し2年目以降は収入の柱として、活動の趣旨に賛同する企業の協賛や、事業者のさらなる出展を目指し、文化芸術の担い手のキャリアアップやスキルアップの機会創出に寄与することを想定している。
クラウドファンディングは5月31日まで支援を募集しており、目標金額は200万円。支援金額に応じて、アートジョブフェアへの招待や、企業向けの出展優先権、値引きなどがリターンとして予定されている。