ある次元に「超暴力」の名を与えるとき。 長谷川新評 超暴力展

愛知県名古屋市の山下ビルで開催された、中路景暁、髙橋莉子、菊池和晃の3名による超暴力展。「超暴力」という挑発的な造語を冠していながら、本展で展示された3名のパフォーマンスは、それぞれ直接的には暴力と結びつく内容ではなかった。ではいったい何が「超暴力」だったのだろうか? 本展を、インディペンデント・キュレーターの長谷川新が論じる。

REVIEW

美術館で遊ぶ、街を探検する。東京都現代美術館で「あそびのじかん」「MOTサテライト2019 ひろがる地図」が開催へ

東京都現代美術館では、夏休みの時期にあわせてふたつの展覧会が開催される。「あそびのじかん」(7月20日~10月20日)では、「遊び」をテーマに6組の作家を紹介。「MOTサテライト2019 ひろがる地図」(8月3日~10月20日)では、リニューアル後の同館をメイン会場として、清澄白河のカフェや店舗ほか7箇所で展示を見ることができる。

NEWS / EXHIBITION

屋根裏の絵はカラヴァッジョ? 予想落札価格180億円の理由を探る

2014年にフランス・トゥールーズにある民家の屋根裏で、カラヴァッジョ作とされる《ユディトとホロフェルネス》が見つかった。「歴史的発見」とも称されるこの作品は、6月27日に同地でオークションに出品される。それに先駆け各国を巡回中の本作の、ニューヨークでの展示を取材してきた。

INSIGHT

自身の身体感覚で「東京を測っていく」。大岩雄典評 高橋臨太郎個展「スケールヒア」

1991年生まれのアーティスト・高橋臨太郎の個展が東京のBLOCK HOUSEで開催された。自身の身体によって空間に働きかけるパフォーマンスや、映像やインスタレーションなどのメディアに物質や身体の限界までエネルギーを加え、「変化する意識」について思考する作品を発表してきた高橋。渋谷と原宿のあいだにあるギャラリーを会場に、東京という土地を自身の身体感覚で「測っていく」ことをテーマにした本展について、気鋭のアーティスト・大岩雄典がレビューする。

REVIEW

ぶつかりあうアジア各国の「曖昧な私」。佐原しおり評 「ミニマリズム-空間、光、そしてオブジェ」展

ミニマリズムの名を冠した東南アジア初の展覧会として「ミニマリズム - 空間、光、そしてオブジェ」が、シンガポールを代表する2つの美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポールとアートサイエンス・ミュージアムで開催された。ミニマル・アートを代表する作家から再評価されつつある女性作家、そして現代の表現までを取り上げ、ミニマリズムの解釈を拡大させた本展を、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

REVIEW

動画配信サービス上のネットスクール始動。 「カオス*ラウンジの芸術動画」は新たなアートシーンの震源地となるか?

カオス*ラウンジが、動画サービスniconicoの「ニコニコチャンネル」にてアートチャンネル「カオス*ラウンジの芸術動画」を開設。1年単位で構成したカリキュラムを、毎週生放送で配信するインターネットスクールが、本日5月31日よりスタートする。

NEWS / HEADLINE

収益はすべてノートルダム大聖堂の修復に寄付。ガゴシアンが「An Exhibition for Notre-Dame」展を開催

今年4月に発生した火災で尖塔が焼失した、パリを象徴する「ノートルダム大聖堂」に捧げるため、ガゴシアンがパリのギャラリーで「An Exhibition for Notre-Dame」展を開催。会期は6月11日〜7月27日。また本展による収益はすべてノートルダム大聖堂の改装と修復に寄付するという。

NEWS / EXHIBITION

透明感のある日常の風景にやどる気配は、どこからくるのか。大森俊克評「アペルト09 西村有 paragraph」展

山道を走る自動車や郊外の家並み、森のなかを歩く人物など、日常の一断面を描く画家、西村有。どこでもないどこかのような、異世界感をはらむ西村の絵画について、度々論じてきた大森俊克が、金沢21世紀美術館で開催された「アペルト09 西村有 paragraph」を中心に、「地域性」という視点を取り入れ、新たな風景論を展開する。

REVIEW

わずかにひびの入った卵の中に。中村史子評「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ 日本館『Cosmo-Eggs│宇宙の卵』」

第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館のタイトルは「Cosmo-Eggs│宇宙の卵」。秋田公立美術大学大学院准教授の服部浩之がキュレーションを行い、美術家の下道基行、作曲家の安野太郎、人類学者の石倉敏明、建築家の能作文徳という異なる領域の専門家のコレクティブが体験の場をつくることを試みる。下道が数年間リサーチと撮影を続けている「津波石」を起点とする本展を、愛知県美術館学芸員の中村史子がレビューする。

REVIEW

イメージを求め、人と自然の極限を見つめる。冨山由紀子評「志賀理江子 ヒューマン・スプリング」展

宮城県を拠点に、フィールドワークに基づいた写真作品を発表してきた志賀理江子による個展「ヒューマン・スプリング」が東京都写真美術館で開催された。いまを生きる人々の心身の衝動や反動などに焦点をあてた新作写真インスタレーションが提示する問いとは何か。写真研究者の冨山由紀子がレビューする。

REVIEW