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メトロポリタン美術館が300点以上の中国美術品をオークションに出品。売却益は作品購入資金に

9月にサザビーズ・ニューヨークで開催される「アジア・ウィーク」のセールには、メトロポリタン美術館のコレクションによる300点以上の中国美術品が登場する。総予想落札価格は260万〜380万ドルで、古代から清朝までの翡翠、仏像、磁器が出品される。

 

A Carved Limestone Head of a Bodhisattva Courtesy Sotheby’s

 メトロポリタン美術館が、9月にサザビーズ・ニューヨークで開催される「アジア・ウィーク」のセールに、300点以上の中国美術品を出品する。

 2015年、同館のアジア美術部門設立100周年を迎え、アメリカのコレクター、フローレンス・アーヴィングとハーバート・アーヴィング夫婦は、1275点のアジア美術品を寄贈。今回出品される約300点の作品は、その寄贈品の一部だ。アーヴィング夫婦は、彼らの寄贈品の一部がメトロポリタン美術館の所蔵品と重複することを認識し、美術館が寄贈品を売却できることに同意。その売却収入は、将来美術館の作品購入のために利用されることを条件とした。

 同館のアジア美術部門長であるマクスウェル・ハーンは、次のようにコメントしている。「フローレンスとハーバート・アーヴィングは先見の明と情熱をもった収集家であり、その献身と寛大さが美術館の所蔵品を劇的に変化させました。私たちは、彼らの贈り物がメトロポリタン美術館のコレクションをさらに充実させることに深く感謝しています」。

A Finely Carved Large Spinach-Green Jade 'Immortals' Brushpot Courtesy Sotheby’s

 9月10日に開催されるセールでは、古代から清朝までの120点以上の翡翠、仏像、磁器などが出品。そのうち、もっとも注目されているのは、清朝に制作されたスピナッチグリーンの翡翠筆筒であり、予想落札価格は50万〜70万ドル(約5000万〜7500万円)と推定される。また、同コレクションの追加作品は、14日のセールにも登場する。予想落札価格の総額は260万〜380万ドル(約2億8000万〜4億円)となる。

 アーヴィング夫婦は、メトロポリタン美術館と長年の関係があった。フローレンスは、1990年に同館の理事に選ばれ、96年に名誉理事に就任。94年と97年に同館に「フローレンスとハーバート・アーヴィング・ギャラリー」を設立し、中国の美術品をはじめ、日本や韓国、南アジア、東南アジアの美術品を展示してきた。ハーバートは2016年に亡くなり、フローレンスは昨年98歳で亡くなった。

A Rare Celadon And Russet Jade 'Quail And Millet' Boulder Courtesy Sotheby’s

 今回のセールについて、サザビーズ・ニューヨークの中国美術部門長であるアンジェラ・マカティアは、「自然に育まれた作品や有機素材にこだわった中国美術、乾隆帝時代に制作された数奇な翡翠など、アーヴィング夫婦の中国美術に対する優れたセンスを代表するものです」と述べている。

 なお、アメリカでは、ニューヨーク近代美術館が昨年、写真作品400点以上をクリスティーズで売却。今年に入ってからはサンフランシスコ近代美術館がマーク・ロスコ《無題》(1960)をサザビーズで約55億円で売却するなど、コレクション整理と新規収蔵のためのセールがたびたび行われている。

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