1987年にスタートし、本年が33回目となる映像アートの祭典「イメージフォーラム・フェスティバル 2019」。今年も世界の最前線から厳選された映像作品が揃い、インスタレーションを含む全154作品が3会場で上映される。
2019年のテーマは“ラフ&ワイルド”。一見洗練されておらず、既存の価値観や歴史的文脈でとらえることのできない表現が、時と場所を超えてやがて大きな意味を持つ可能性に着目した。
東京会場の期間中には、コンペティション部門「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」の最終審査も実施。日本、中国、台湾、韓国からの計446作品の応募の中から選出した22作品が上映、9月23日に入賞5作品が発表される。
日本未発表の海外の優れた作品を主に上映する「エクスペリメンタル・パノラマ部門」ではポルトガルを特集。『熱波』のミゲル・ゴメスが贈る6時間半の超大作『アラビアン・ナイト』の東京初上映をはじめ、⻤才タル・ベーラのもとで映画制作を学んだアンドレ・ジル・マタの『時間の木』、2019年のロッテルダム国際映画祭でブライト・フューチャー賞を受賞したアヤ・コレツキーの『30歳のとき、世界を廻った』を上映。これからが注目される現代ポルトガル映画の作家たちにスポットを当てる。
また『去年マリエンバードで』や『夜霧の恋人たち』で知られる女優デルフィーヌ・セイリグとフランスのビデオアート界のパイオニア、キャロル・ロッソプロスが、支配的な男性優位の社会と対峙した二人の活動を回想するドキュメンタリー『デルフィーヌとキャロル』。そしてドイツのフェミニズム映画の先駆者ウラ・シュテックルがエドガー・ライツと組み、芸術や性の役割の常識の転覆を図った1969年の映画『ゴミ箱キッド』など女性アーティストによる作品にも注目したい。
そのほか、歴史的に重要な映像作家にフォーカスを当てる「フィルムメーカーズ・イン・フォーカス」の飯村隆彦特集、今年6月に惜しくも亡くなったスーザン・ピットの追悼上映など、多彩なプログラムを予定している。
特別企画としては、本邦初の試みとなる「アジア・エクスペリメンタル・フィルム・フェスティバル・ミーティング」を実施。近年アジアにおいてその勢いを増している現代の実験映画/エクスペリメンタル・フィルムの状況を巡るシンポジウムと特集上映を開催し、これからの「映像表現とは何か?」を韓国・中国・インドネシア・シンガポール・ベトナム・マレーシア・タイ・フィリピンのキュレーターや映画祭のプログラマーらがアジアから発信する。
アジア、フェミニズムなどいま注目の話題で集められた映像作品を一挙に見られるまたとない機会、ぜひ会場に足を運びたい。