横浜市民ギャラリーが2016年にスタートした、現代美術を紹介する年次展覧会「新・今日の作家展」。今年は「対話のあとさき」を副題として鎌田友介、原美樹子、守章、門馬美喜の4組を取り上げる。
一貫して建築に内在する時代性や政治性を扱ってきた鎌田は、約100年前に韓国で建てられた日本家屋に関する調査や、横浜にもゆかりのある建築家アントニン・レーモンドにまつわるモチーフで、建築が内包する多面性にアプローチする新作を構成。また2017年に第42回木村伊兵衛写真賞を受賞し「ノー・ファインダー」の方法で知られる原は、2009年以降に撮影されたスナップ写真から展示を構成する。
守章は、石巻と東京という離れた場所で生活する兄弟ユニット。他者との距離感や境界を作品に反映させてきた2人は、同館で作品保管室として利用されるスペースに新作のサウンド・インスタレーションを展開する。そして福島県相馬市と東京を拠点とする門馬は、相馬市へ続く道を描いたシリーズ「Route」と、故郷の伝統行事「相馬野馬追」に関する作品群を出展。馬と人の交流を描いた作品は、近代競馬発祥の地である横浜の歴史にも共鳴するだろう。
制作の過程での出会いや対話を拾い上げる作家たちの作品を通して、今日の「対話」のかたちを問う本展。コミュニケーションのあり方、他者や共同体との関係性を見つめ直す端緒を与えてくれるかもしれない。