2019.8.26

磯崎新による「縁起」展がハラ ミュージアム アーク・觀海庵で開催。自ら手がけた美術館で見る発想の原点

建築家・磯崎新による「觀海庵 縁起」展が、群馬のハラ ミュージアム アークで開催される。本展はその後、水戸芸術館、奈義町現代美術館と自ら設計を手がけた国内の2館でも展開予定。会期は9月13日〜10月23日。

觀海庵外観 写真=齋藤さだむ

 磯崎新は1931年生まれ。丹下健三研究室を経て、63年に磯崎新アトリエを設立。設計活動のかたわら、建築批評や美術展・建築展の開催などを精力的に行ってきた。96年には第6回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で日本館のコミッショナーを務め、作品《亀裂》で金獅子賞を受賞。主な建築作品に大分県立図書館、ロサンゼルス現代美術館、カタール国立コンベンションセンターなどがある。

 そんな磯崎は今年、「建築界のノーベル賞」として知られるプリツカー賞を受賞。これをひとつの節目として、自ら設計を手がけた国内の3館(ハラ ミュージアム アーク水戸芸術館奈義町現代美術館)で「縁起」展が開催される。

 その皮切りとなるのが、ハラ ミュージアム アークでの「觀海庵 縁起」展だ。同館は1988年に設立、2008年に同じく磯崎の設計のもと「特別展示室 觀海庵」を増築。觀海庵は書院造を参照して設計され、伝統と現代が交差する新たな場を提案している。

 本展では、觀海と号した明治時代の実業家・原六郎が収集した日本美術とともに、ハラ ミュージアム アークや觀海庵、そして1991年に原美術館のほど近くに建てられた茶室・有時庵にまつわる作品群を展示。原六郎からその曾孫・原俊夫の現代美術コレクションへ続く系譜に対する、磯崎の応答を見ることができるだろう。

 会期はそれぞれハラ ミュージアム アーク(9月13日〜10月23日)、水戸芸術館(11月16日〜2020年1月26日)、奈義町現代美術館(2020年予定)。