この夏、訪れたい美術館。豊かな自然に囲まれたセゾン現代美術館を紹介

軽井沢にあるセゾン現代美術館では、小野耕石と門田光雅の2人展「The ENGINE 遊動される脳ミソ」を開催中。充実したコレクションや広大な庭園など見どころの多い美術館で、作品を堪能してほしい。会期は4月20日~9月1日。

文=佐藤恵美

床面に広がる小野作品の色と壁面で展開する門田作品の色が織りなす展示空間 撮影=加藤健

 豊かな自然に囲まれながら現代美術を堪能できるセゾン現代美術館。1981年、軽井沢に開館し、20世紀初頭の巨匠から今日の作家まで国内外の現代美術のコレクションを約500点有する。所蔵作品は年に2回の企画展の際に展示替えするほか、アンゼルム・キーファーのインスタレーションやジャン・ティンゲリーなどの大型作品を常設展示してい る。また建築家・菊竹清訓の設計した建物を、彫刻家・若林奮の構想した庭園が囲み、小川の流れる緑豊かな庭を回遊しながら数々の野外彫刻を見ることができる。

小野耕石 Looprint 2019 帆布に油性インク 92×92cm(10点組) 撮影=加藤健
動物の頭蓋骨にインクの柱を植え付けた、小野耕石《Inducer.9》(2019)  ©︎小野耕石

 現在開催中の企画展は、小野耕石と門田光雅による2人展「The ENGINE 遊動される脳ミソ」だ。独自の手法で版画・絵画のあり方を探る両者の作品は、身体的に生み出された色と光が共通する要素だが、本展は作者の意図を超えた「自身を突き動かすものとは何か」をテーマに構成されている。何十回とインクを重ね刷りあげられる小野の版画や立体作品と、様々な手法で絵具を塗り重ねた門田の絵画。両者の「色」を手掛かりに、ジャスパー・ジョーンズ、加納光於、アンディ・ウォーホルなどのコレクションを織り交ぜて展示している。

 思考よりも先に身体が動いてしまうとき、そのエネルギーを発動させる正体とは何か。その答えを、作品の持つ色と光に委ねてみたい。

門田光雅 Clock 2019 綿布にアクリル、カーボランダム   280.2×500.2cm ©︎門田光雅 

学芸員・坂本里英子に聞くみどころ

本展は同世代の2作家の近作を中心に構成し、作品をつくる原動力とは何か、という問いをテーマにしています。初披露となるのは、小野さんが当館のコミッションワークとして新たな表現方法で制作した《Looprint》、そして幅5メートルほどもある門田さんの新作《Clock》です。そのほか大型の近作等、両作家とも美術館では過去最大の規模で展示しています。また企画展とコレクションを組み合わせて展示するのも、近年の新たな試みです。

美術館から庭園を望む、なだらかなアプローチ 撮影=加藤健

 

編集部

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