この夏、訪れたい美術館。キスリング展を開催中の岡崎市美術博物館を紹介

20世紀前半、パリに集まった芸術家たちのなかでも、ひときわ自身の作風を極め、成功を収めた画家・キスリング。日本では12年ぶりとなる回顧展「キスリングーエコール・ド・パリの煌き」が、徳川家康生誕の地・愛知県岡崎市の岡崎市美術博物館に巡回中だ。会期は7月27日〜9月16日。

文=佐藤恵美

赤い長椅子の裸婦 1937 キャンバスに油彩 パリ市立近代美術館蔵 © Musée d'Art Moderne / Roger-Viollet

 なだらかな丘陵地にある岡崎市美術博物館は、岡崎の歴史から現代美術まで、「心」を伝える美術品・博物資料を幅広く所蔵している。空や木々など風景を取り込んだガラス張りの建物は、建築家・栗生明(くりゅう・あきら)が設計。入口ではマリーナ・アブラモヴィッチの《人間と精神のための椅子》が出迎える。眺めのいいレストランやミュージアムショップも人気が高い。

カーテンの前の花束 1937 キャンバスに油彩 村内美術館蔵

 キスリングは、100年前のパリで一世を風靡した画家。キュビスムやフォービスムなど新しい絵画運動にふれ、同時代の芸術家たちと交流しつつも独自のスタイルを貫いた。艶やかな裸婦や優美な花々など、華麗な色彩でありながら哀感漂う作品は人気を博し、またその人柄から多くの人に慕われたという。本展では初期から晩年までの作品67点を展示。古典を徹底的に習得し、伝統を継承しながらも新たな表現を築いたその軌跡を概観できる展覧会だ。

岡崎市美術博物館の外観

編集部

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