文化の日に観覧無料となる美術館・博物館(2024年版)

11月3日は、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とする国民の祝日「文化の日」。この日にあわせて、展覧会の観覧無料を実施する美術館・博物館を紹介する。

東京国立博物館 本館

 11月3日は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とする国民の祝日である「文化の日」に定められている。この日に、一部あるいは全ての展示を観覧無料にする美術館や博物館を紹介したい。

東京国立博物館

東京国立博物館

 東京・上野の東京国立博物館では、常設展にあたる「総合文化展」(通常一般1000円)が無料で鑑賞できるチャンス。同展では、「やきものを彩る金と銀」、「令和5年度新収品」(平成館)などが開催中。また、この期間には本館で国宝「古今和歌集(元永本)」下帖も公開されているので、忘れずに鑑賞してほしい(公開期間:10月16日~11月17日)。1878年に法隆寺から皇室に献納され、戦後国に移管された法隆寺宝物を収蔵・展示する法隆寺宝物館(建築設計:谷口吉生)などもチェックだ。

 なお、同館では平成館で挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」が開催中(〜12月8日)。こちらもあわせて見ておきたい。

住所:東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30~17:00(金土、11月3日〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで

国立科学博物館

 同じく上野の国立科学博物館は、日本館・地球館ともに常設展が無料となる。お馴染みの巨大な恐竜の化石や動物の剥製の展示はもちろん、大型映像も鑑賞したい。

住所:東京都台東区上野公園7-20
開館時間:9:00~17:00  ※入館は閉館の30分前まで

国立西洋美術館

国立西洋美術館

 一昨年4月にリニューアルオープンした東京・上野の国立西洋美術館では、常設展示が無料公開となる。常設展は、同館設立の基盤となった「松方コレクション」の名品の数々と新収蔵作品から構成され、ピカソやモネなど近世の西洋美術の歴史で必ず目にする画家の作品が一堂に介する充実の内容だ。

 また版画素描展示室の小企画展「オーガスタス・ジョンとその時代—松方コレクションから見た近代イギリス美術」ももちろん無料で観覧可能。松方コレクションより、オーガスタス・ジョンの初期の素描を中心に、同時代の画家たちの素描や版画、油彩画もあわせて展示することで、世紀転換期イギリスの多彩な芸術動向や人的ネットワークの広がりに光を当てるものだ。

住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金・土~20:00) ※入館は閉館の30分前まで

東京国立近代美術館

東京国立近代美術館

 東京・北の丸の東京国立近代美術館では、1万3000点を超える所蔵作品から選ばれた約200点を通して日本の近現代美術の流れをたどる「MOMATコレクション展」が無料で鑑賞できる。

 4階5室では「シュルレアリスム100年」と題し、20世紀芸術における最重要動向のひとつであるシュルレアリスムを紹介しつつ、マックス・エルンストの新収蔵作品が初公開。また3階8室では、1950年代に脚光を浴びた芥川(間所)紗織の生誕100周年企画を見ることができる。

 なお、2階ギャラリー4では小企画「フェミニズムと映像表現」も無料観覧可能。1970年前後を起点に、ヴィデオなどを用いた映像表現の重要な担い手となった女性アーティストを紹介する意欲的な企画をぜひ目撃してほしい。

住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間:10:00〜17:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで

国立映画アーカイブ

 日本唯一の国立映画機関で国内最大のフィルムアーカイブである国立映画アーカイブは、企画展「没後50年 映画監督 田坂具隆」と常設展「NFAJコレクションでみる 日本映画の歴史」がともに無料になる。なお上映プログラムは有料となるので注意が必要だ。

住所:東京都中央区京橋3-7-6
開館時間(展示室):11:00〜18:30(金〜20:00)※入室は18:00まで

印刷博物館

 東京・小石川にある印刷博物館では、すべての展示が無料になる。日本で開催されている3つのパッケージコンクールの受賞作を紹介する「現代日本のパッケージ2024」や、写真植字の歴史、役割、仕組み、書体デザインについて紹介する「写真植字の百年」、ミニ展示「源氏物語登場 古典の復興」が鑑賞可能だ。

住所:東京都文京区水道1丁目3番3号 トッパン小石川本社ビル
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで

千葉県立美術館

 例年11月3日に全館無料観覧を実施してきた千葉県立美術館。今年は開館50周年記念特別展「浅井忠、あちこちに行く-むすばれる人、つながる時代—」が無料で鑑賞できる。近代洋画の先駆者として知られ、日本画や工芸、図案など多様な分野でも活躍した浅井忠。本展は、350点以上の浅井忠作品・研究資料を一度に見ることのできるまたとない機会だ。

住所:千葉県千葉市中央区中央港1-10-1
開館時間:9:00〜16:30 ※入館は閉館の30分前まで

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館 撮影=木奥惠三

 日本で最初の公立近代美術館として1951年に開館した神奈川県立近代美術館。鎌倉の鶴岡八幡宮とほど近い場所にある鎌倉別館も無料で見ることができる。

 同館では「たいせつなもの」と題するシリーズで新収蔵品を紹介。2015〜19年度に収蔵された寄贈作品(岡本半三、小野絵麻、木村忠太、中野淳、木下晋)や、神奈川県美術展と神奈川県女流美術家協会展で神奈川県立近代美術館賞を受賞した作品のなかから、収蔵後未公開の約60点が並ぶ。なお神奈川県立近代美術館 葉山は改修工事中のため2025年3月31日(予定)まで展示室での展覧会が休止となっている。

住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで

横須賀美術館

 設計者である建築家・山本理顕がプリツカー賞受賞を記念したことでも話題を集めた横須賀美術館。

 11月3日は開催中の企画展「瑛九 ―まなざしのその先に―」「運慶展 運慶と三浦一族の信仰」、そして所蔵品展「特集:かながわ散歩」展、谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展「大人たち」がすべて無料で観覧できる。建築とともに楽しみたい。

住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1
開館時間:10:00~18:00

国立工芸館

国立工芸館

 金沢の国立工芸館では、開催中の企画展「心象工芸展」(通常一般1000円)が無料となる。工芸家それぞれの技術だけでなく、いまを生きる作家の心の表現に注目するこの展示。刺繍の沖潤子やガラスの佐々木類といった、いま注目すべき作家たちが並ぶ。

住所:石川県金沢市出羽町3-2
開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで

京都国立近代美術館

 京都国立近代美術館では、コレクション展が無料で鑑賞可能になる。

 同展は、「シュルレアリスム宣言100周年」のほか、企画展「LOVEファッション―私を着がえるとき」と連動する「愛と欲望とファッション」、日本の、あるいは日本にゆかりある作家たちのセルフポートレイトを紹介する「自画像に見るIn Search of Myself」などで構成されている。

 なお、18世紀から現代までの衣装と現代美術の作品を通じ、装いがもたらすアイデンティティの変容や他者とのつながりを紐解く企画展「LOVEファッション―私を着がえるとき」も要チェックだ(有料)。

住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで

国立国際美術館

国立国際美術館

 シーザー・ペリによる建築として知られる大阪・中之島の国立国際美術館も、11月2日から始まるコレクション展が無料となる。今回のテーマは「コレクション1 彼女の肖像」。国立国際美術館の所蔵品のなかから、女性の登場する作品に焦点をあて、章ごとに異なるテーマで紹介するもので、20世紀半ばに活躍した女性のデザイナー(山脇道子とシャルロット・ぺリアン)の活動に触発されたレオノール・アントゥネスのインスタレーションなど、昨年度新たに収蔵された作品も見ることができる。

 なお同館は11月2日、11月16日・11月17日、12月7日、1月11日もコレクション展が無料となる。

住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00)

兵庫県立美術館

兵庫県立美術館

 安藤忠雄建築として知られる兵庫県立美術館では、コレクション展が無料となる。

 今回のコレクション展では、4つの展示室を使って、特別展「石岡瑛子 Iアイ デザイン」と連動し、所蔵作家の約1割を占める女性作家のなかから約60人の作家の作品を展示。また、本多錦吉郎《羽衣天女》(1890年作、平成11年度伊藤文化財団寄贈)が重要文化財に指定されたのを記念して、同作品および関連作品が特別陳列されている。昨年度収蔵したヨシダミノル《作品》、清宮質文らの版画作品も鑑賞可能だ。

住所:神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
開館時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで

広島市現代美術館

広島市現代美術館

 2023年にリニューアルオープンした広島市現代美術館。同館では全館が無料となる。注目すべきは特別展「ティンティン・ウリア:共通するものごと」(〜2025年1月5日)だ。

 同展は、国際的に活躍するインドネシア出身のアーティスト、ティンティン・ウリアの日本初となる個展。比較的初期から現在に至る作品を紹介。個々の記憶を含む個人的背景が、いかに集団的な行動や、他者との社会的つながりへと変容し得るのか、という点に着目するウリアの芸術的試みの変遷を、作品を通して体験する機会となっている。

住所:広島県広島市南区比治山公園1-1
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで

編集部

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