しないでおく、こと。—芸術と生のアナキズム

　豊田市美術館で、企画展「しないでおく、こと。—芸術と生のアナキズム」が開催される。

　芸術＝創造とはそもそも、いまだ了解されない認識や知覚の領野を拡張していく営み。ゆえに芸術とは、「芸術」として名づけられ、ひとつに回収されてしまうことへの抵抗をあらかじめ含んでいる。

　近年、芸術を含むあらゆる場で、旧来の制度や差別への連帯闘争が試みられている。それらは切実な抵抗の態度であり、人々を鼓舞する重大な拠り所となるものの、小さな個別の差異を均してしまう危うさと隣りあわせにあるものともいえる。

　このギリギリの状況において、個々の表現や日常的な振る舞いは、いかにひとつに回収されることなく共存し、それでも抵抗の力を持ち続けることができるのでだろうか。そのそれぞれの試みがアナキズムの実践だといえる。本展では、芸術と社会にどっぷりと関わりながらも軽やかに抵抗・逃走し、あえて「しないでおく」ことの可能性も含めて生き、創造する人々の実践を紹介する。