《クラウン・ファウンテン》は自由に動画撮影できる?


もうひとつ、パブリック・アートで著作物の種類が問題になりうる作品を見ておきたい。シカゴのミレニアム・パークに設置されているジャウメ・プレンサの《クラウン・ファウンテン》(2004)である。《クラウン・ファウンテン》は、約15メートルのガラスブロックの塔2基が、長さ約71メートルの浅い黒御影石の反射プールを挟んで向かい合う構成で、各塔の内側の面はLEDスクリーンになっており、シカゴ市民1000人の顔のビデオポートレイトが映し出される(*7)。塔から流れ落ちる水と、人物の口の位置に合わせて設けられたノズルから噴き出す水が、ガーゴイルを思わせる効果を生む。LEDによる映像、水、光、来場者の参加が一体となった作品で、ビデオ・スカルプチャーと呼ばれることもある。
このように、《クラウン・ファウンテン》には映像的要素が含まれるため、映像部分は「映画の著作物」に当たると考えられる。他方で、ガラス塔・反射プール・水の流れといった彫刻的要素も作品の本質を構成しており、「美術の著作物」としての側面もある。そのため、「映画の著作物」とともに「美術の著作物」に当たる複合的性格をもった作品といえるだろう。
そうすると、日本の著作権法46条では、《クラウン・ファウンテン》の写真を撮影することは、「美術の著作物」の原作品の利用として自由である。いっぽうで、LEDスクリーンの映像部分を動画撮影することは「美術の著作物」ではなく、「映画の著作物」の利用であるため、著作権者の許諾が必要になりそうである。
*7──ジャウメ・プレンサウェブサイト。なお、便宜上日本法を適用することを前提とした解説としている。



















