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2020.2.2

ジョーン・ジョナスから「表現の生態系」展まで、1月のレビューをプレイバック

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、1月に公開された全10本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

ジョーン・ジョナス「Five Rooms For Kyoto: 1972–2019」展より、《Reanimation》(2010/2012/2014)の展示風景
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小田原のどか評「柳幸典展」

展示風景より、左から《アキツシマ・インストラクション》(2000)、 《アキツシマ 50・I / II》(2000 / 2019)  (C) Yukinori Yanagi Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

2019年11月から12月にかけ、東京・原宿のBLUM & POEで柳幸典の個展が行われた。現代社会が孕む諸問題を、ユーモアを交えて表現する柳が同展でテーマとしたのは、第二次大戦中の大日本帝国海軍の水上機母艦であり、1944年9月に米軍機による爆撃を受け、現在もフィリピンのブスアンガ島に位置するコロン湾深くに沈む「秋津洲」。70年以上前に沈んだこの戦艦は、いかに2020年へと接続するのか? 小田原のどかがレビューする。
 

菅原伸也評 ミン・ウォン「偽娘恥辱㊙︎部屋」

展示風景より 写真=大坂崇

ミン・ウォンはシンガポール出身、ベルリン在住のアーティスト。アサクサで開催された「偽娘恥辱㊙︎部屋」では、成人映画「日活ロマンポルノ」を題材にした新作を発表。中国でいわゆる「男の娘(おとこのこ)」を意味する「偽娘(ウェイニアン)」による現代のデジタル動画の制作方法と、ピンク映画の黎明期に低予算で行われた早撮りの手法を参照することで、日活ロマンポルノに登場する3人の女優を再演した。身体とジェンダーにおけるパフォーマティヴな振る舞いの実験の場である本展を、美術批評家の菅原伸也がレビューする。
 

椹木野衣評「想起の力で未来を:メタル・サイレンス 2019」

クリスティーナ・ルカス《Unending Lightning(終わりえぬ閃光)》(2015)の展示風景

上野の旧博物館動物園駅で開催された「想起の力で未来を:メタル・サイレンス 2019」。クリスティーナ・ルカスとフェルナンド・サンチェス・カスティーリョのスペイン出身の作家2名が、上野公園という地で示した戦争との向き合いかたを椹木野衣がレビューする。
 

清水穣評「美術館の終焉─12の道行き」「IF THE SNAKE もし蛇が」

「岡山芸術交流2019」より、写真上がジョン・ジェラード《アフリカツメガエル(宇宙実験室)》(2017)、手前がパメラ・ローゼンクランツ《皮膜のプール(オロモム)》(2019) Photo by Ola Rindal Courtesy of the artist, Thomas Dane Gallery and Simon Preston Gallery Courtesy of the artist, Karma International, Miguel Abreu Gallery and Sprüth Magers

「アート・プロジェクト KOBE 2019:TRANS-」でグレゴール・シュナイダーが神戸市内各所に展開した「美術館の終焉─12の道行き」、ピエール・ユイグをアーティスティックディレクターに迎え2回目の開催となった岡山芸術交流の「IF THE SNAKE もし蛇が」、ふたつの国際芸術祭を清水譲が評する。
 

中村史子評 ジョーン・ジョナス「Five Rooms For Kyoto: 1972–2019」展

《Reanimation》(2010/2012/2014)の展示風景。人影が映像に重なっている様子

ジョーン・ジョナスの第34回京都賞受賞を記念し、国内最大規模となる個展が京都市立芸術大学ギャラリー @KCUAで開催された。パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、複数のメディアを融合させた表現を追求してきたジョナス。本展は、彼女の作品の重要なキーワードとなる、女性、物語、環境問題を5つの展示室を使ってたどる。もっとも大きな部屋では、近年の代表作とも言える《Reanimation》のインスタレーションが展開された。愛知県美術館学芸員の中村史子がレビューする。
 

沢山遼評「坂田一男 捲土重来」展

静物II 1934 キャンバスに油彩 44×36.5cm 大原美術館蔵

1920年代のパリにおいて、第一線で活躍していた前衛画家・坂田一男。同展では、その功績が十分に評価されているとは言えなかった作家の全貌を、著書『抽象の力』で坂田にスポットを当てた造形作家の岡﨑乾二郎を監修に招くことで、みごとに蘇らせた。坂田の同時代性、そして度重なる災害に苛まれる日本の現状をも予見するような現在性について、批評家の沢山遼がレビューする。
 

檜山真有評「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」展

地主麻衣子《わたしたちは(死んだら)どこへ行くのか》より「第4章 彼岸花」(2019、7分17秒)と「第5章 名前のない骨」(2019、36分33秒)の展示風景 提供=アーツ前橋 撮影=木暮伸也

群馬県のアーツ前橋にて開催された「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」展では、現代美術作品に限らず「現代における生を表現を通じてつなぎ直す」様々な試みが紹介された。人類学や社会学の研究者を企画協力に迎えて構成された本展を、若手キュレーターの檜山真有がレビューする。
 

菅原伸也評 イズマイル・バリー「みえないかかわり」

出現 ヴィデオ 3分 2019 (C) Nacása & Partners Inc. Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

素材の本質から事物をとらえ、見るという行為そのものを問いかけるイズマイル・バリーの日本初個展が銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催された。展示会場全体を光学装置とし、映像作品を中心に、ドローイング、インスタレーションなど、さまざまな形態の作品が発表された。最小限の状況設定から生み出された繊細な作品群を通して、視覚への実験的なアプローチを行った本展を、美術批評家の菅原伸也が紐解く。
 

中尾拓哉評 アラン、斉と公平太「非零和無限不確定不完全情報ゲームとしてのアート?」

アラン「コムニカチオ」(2018)の展示風景 撮影=木奥惠三

ゲームとアートとの関係について思考し、新たなゲームを生み出す2人のアーティスト、アラン(三浦阿藍)と斉と公平太による展覧会が、副田一穂のキュレーションによって行われた。既存のゲームを組み替える斉と公平太と、新たなゲーム空間を生み出すアランの制作から見えてくるアートとゲームのあわいについて、『マルセル・デュシャンとチェス』の著者である、美術評論家の中尾拓哉がレビューする。
 

大岩雄典評 小田原のどか《↓(1923-1951)》と「近代を彫刻/超克する」展

「あいちトリエンナーレ2019」での小田原のどか《↓(1923-1951)》展示風景

昨年ふたつの場所で展示された小田原のどかの作品を批評する。歌人・斉藤斎藤の作品を引きながら「わたし」について、またゲーム、小説、美術作品における「あなた」という代名詞が指すものの正体を分析。さらに「見る者/見せる者」両者の境界線を越境させる力について考察をめぐらす。