いま、芸術や美術館にはどのような役割が求められているのか。これを「世界との関係をつくり変えていく実践」ととらえ、アーティストによる作品・プロジェクトを紹介する展覧会が群馬のアーツ前橋で開催される。会期は10月12日~2020年1月13日。
本展を手がけるのは、芸術人類学や神話学を専門とする石倉敏明、都市社会学を専門とする山田創平、アーティスト・白川昌生、そしてアーツ前橋の学芸員からなる企画委員会。分野を横断しながら、社会における芸術の役割を様々な視点から検証する。
同館は2016年から福祉、医療、教育などの分野と協働し、社会における「生きづらさ」に対して表現が持つ可能性を考える「表現の森」プロジェクトを始動。本展では同プロジェクトの4年間の活動に加え、LGBTQ支援をテーマに活動を行う団体「ハレルワ」と山田創平、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、あかたちかこによる新プロジェクト・作品を展覧する。
また本展では、前橋の赤城山に着目した宗教性や共同性に関するリサーチを通して、9作家が新作を発表。なかでも白川昌生は岡本天明、金井南龍、ヨーゼフ・ボイスやシュタイナーなどを取り上げながら、日本における精神の流れとヨーロッパの芸術の関係を提示する。
そのほかにも高山明/Port Bは、インドシナ難民で精神疾患を持つ人々を受け入れてきた施設「あかつきの村」を舞台に、その歴史を体験できる新作を発表。また滝沢達史は、ひきこもりや不登校を経験した若者たちが通う「アリスの広場」と協働し、まちなか商店街での拠点づくりを新たなプロジェクトとして展開する。
教員や美術・医療・福祉・教育を専門に学ぶ学生は入場無料の本展。会期中にはトークや上映など様々なイベントも予定されているため、こちらもあわせてチェックしてほしい。