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岡山の新現代美術館「ラビットホール」が開館。目指すは20年かけて「壊す」建築

公益財団法人石川文化振興財団(理事長:石川康晴)が、岡山市中心部に同財団初の現代美術館「ラビットホール」を新たに開館させた。

文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

展示風景より、フィリップ・パレーノ《My Room Is Another Fish Bowl》(2018)

壮大な構想

 日本有数のアートコレクターである⽯川康晴が理事長を務める公益財団法⼈⽯川⽂化振興財団。同財団が初となる現代美術館「ラビットホール」を岡⼭市中⼼部に開館させた。

ラビットホール

 同財団は岡山市らが2016年以来、岡山市中心部の岡山城・岡山後楽園周辺エリアで3年に一度開催する芸術祭「岡山芸術交流」では同財団が実行委員会のメンバーとなり、現代アートの普及に努めてきた。今年はフィリップ・パレーノをアーティスティック・ディレクターに迎えた「岡山芸術交流2025」(会期2025年9月26日~11月24日、52日間)が開催となる。

 この財団が新たに設立するのが、このラビットホールだ。同館は、コンセプチュアル・アートを核とした石川のコレクション「イシカワコレクション」(総数約400点)を⼀般公開するとともに、子供たちに向けたラーニングプログラムやリサーチ(研究)などの活動を展開する。

 施設のネーミングはアーティストのライアン・ガンダーによるもの。ラビットホールとは、日常とは違う世界に突然入ってしまう場所=「不思議の国のアリス」のウサギの穴を指す。またミュージアムでもギャラリーでもない、「第3の場所」であることも意味している。

 館のディレクションを担うのは、黒澤浩美(キュレーター)、青木淳(建築家)、那須太郎(ギャラリスト)、そして石川の4名からなる「ディレクター・コレクティブ」。

左から、⽯川康晴、黒澤浩美、青木淳、那須太郎

 2011年から個人で作品収集を行ってきた石川だが、美術館設立はその当初から構想してきたという。その結実であるこのラビットホールだが、ここはあくまでスタートであり、今後20年をかけて市内に18の別館をつくっていく壮大構想も明らかにした。

 その背景としてあるのが、アート観光の目的地として世界的に注目を集める瀬戸内エリアだ。世界中のアートファンが直島を含む瀬戸内エリアに注目するなか、石川は岡山を瀬戸内の入口として位置づけ、「瀬戸内カルチャーリージョンを世界に発信していきたい」と意気込む。

エントランス部分ではグッズの販売も

編集部

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