
イメージを求め、人と自然の極限を見つめる。冨山由紀子評「志賀理江子 ヒューマン・スプリング」展
宮城県を拠点に、フィールドワークに基づいた写真作品を発表してきた志賀理江子による個展「ヒューマン・スプリング」が東京都写真美術館で開催された。いまを生きる人々の心身の衝動や反動などに焦点をあてた新作写真インスタレーションが提示する問いとは何か。写真研究者の冨山由紀子がレビューする。

宮城県を拠点に、フィールドワークに基づいた写真作品を発表してきた志賀理江子による個展「ヒューマン・スプリング」が東京都写真美術館で開催された。いまを生きる人々の心身の衝動や反動などに焦点をあてた新作写真インスタレーションが提示する問いとは何か。写真研究者の冨山由紀子がレビューする。

世界各地での滞在制作を通して、文化の伝播や誤訳、その過程で生じる差異や類似などに着目し、社会・歴史を背景にした映像作品を制作してきた荒木悠。そんな荒木の新作展となる個展が、東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催されている。明治期に日本を訪れ、紀行文を残したフランス人作家ピエール・ロティの『秋の日本』と、芥川龍之介の『舞踏会』に着想を得た本展で荒木が見せるものとは? 演劇/ダンス研究者の越智雄磨が読み解く。

約40人の建築家・美術家による、20世紀以降のアンビルト(未完)建築に焦点を当てた建築展が国内を巡回中だ。建築の不可能性に着目することで、その潜在力を考察する本展を、建築家・美術家の砂山太一がレビューする。

約3年にわたる休館を経て、今年3月29日にリニューアル・オープンを迎えた東京都現代美術館。そのリニューアル第1弾として6月16日まで開催中の企画展が「百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-」だ。1910年代から現在まで、100年にわたる日本の美術について、編集的な視点で新旧の表現をとらえるとともに、独自の創作を展開した「編み手」である作家たちの実践として、同館コレクションを核に再考するという本展を太田市美術館・図書館学芸員の小金沢智が論じる。

韓国出身のアーティスト・崔在銀(チェ・ジェウン)による「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想を可視化する展覧会「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」が、東京・品川の原美術館で開催されている。朝鮮半島を二つに分断する北緯38度線地帯を舞台としたDreaming of Earth Projectが日本で紹介される意義とは何か? 彫刻家で彫刻研究者の小田原のどかがレビューする。

加納俊輔、迫鉄平、上田良の3作家からなる THE COPY TRAVELERS(コピー・トラベラーズ)は、写真などのイメージを複製やコラージュの手法で再構成するコレクティブである。愛知県美術館学芸員の中村史子が、この2月と4月に連続して催された2つの個展を通して、それらに共通する「女性たちのイメージ」に着目し、彼らの意図を探る。

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。その中から、4月に公開された9本をピックアップしてお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

パフォーマンスを中心に作品を制作する若手アーティスト、うらあやかの個展が、広島芸術センターで開催された。「ダンス」の概念を応用し、ワークショップをもとにした作品やインスタレーションなどが展開された本展を、広島市現代美術館学芸員の松岡剛がレビューする。

落書きのようなドローイングやペインティング、オブジェ、ビデオなど様々な表現方法を用いて、自身の連想のプロセスをかたちにする落合多武。そんな落合の個展「ショパン、97分間」が、日光東照宮のほど近く、安川町に位置するスペース「てつおのガレージ」で開催された。ショパンの死後、彼の心臓だけが故郷へ帰還したという逸話をもとに展開された本展を、キュレーターの飯岡陸が読み解く。

ドイツ・デュッセルドルフにある公立美術館、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館(K20)で開催された「ミュージアム・グローバル」展。世界7つの地域における1910〜60年代の作品を紹介する展覧会だ。東京、モスクワ、サンパウロ、メキシコシティ、シムラ、ベイルート、ザリアといったヨーロッパ以外の都市におけるモダニズムの受容について、同館の研究者らが数年にわたって取り組んだプロジェクトの成果として発表された。豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴が考察する。

日常生活を支えるテクノロジーの計算に注目し、コンピュータ・プログラミングによる数理的処理や、その結果を用いたインスタレーション作品を発表してきた平川紀道。現代社会に絶えず存在する未知の領域との接続のあり方や、既知とのあいだに存在するわずかな値を探求する平川作品を、中尾拓哉がレビューする。

既製品や映像、ものなど、多彩な要素を組み合わせたインスタレーションをてがける大岩雄典が、東京・駒込倉庫にて、美術家で建築家の砂山太一企画による個展を開催した。2階建ての建物全体を用いて大岩の作品が配置された同展は、会場構成に建築家・奥泉理佐子も参加し、重層的な意味構造と空間体験を生み出している。本展について、フランス哲学、芸術学、映像論を専門とする福尾匠がレビューする。

フランスを代表する現代アーティストのひとり、クリスチャン・ボルタンスキーの国内初となる大型回顧展が大阪・国立国際美術館で開催中だ。作家自身が「展覧会をひとつの作品として見せる」と語るように、インスタレーション作品としても構想されている。初期作品から最新作までを網羅する本展から、ローマ在住の批評家、社会活動家の多木陽介が、ボルタンスキーと劇作家サミュエル・ベケットの交点を読み解く。

約20年にわたり、アートと大衆文化の隙間を映像、写真、立体を含む多様なメディアを用いて詩的に綴ってきたマリオ・ガルシア・トレス。現在メキシコシティを拠点に活動する作家の個展がタカ・イシイギャラリーで開催された。偶然の一致、記憶、終焉、反復、過渡期の瞬間をテーマとした本展をはじめ、これまでのガルシア・トレスの作品に通底するキーワード「演じなおす」とは。キュレーターの兼平彦太郎が読み解く。

現実空間と仮想空間、それぞれの鑑賞体験を可能にし話題となった「光るグラフィック展2」。リアルとバーチャル、人間と機械など様々な対立項の境界が曖昧になるなかで、現代における「オリジナル」の定義はどこに存在するだろうか。現代に根ざすこういった問いを考察する本展を、視覚文化評論家の塚田優がレビューする。

規定や約束事としてのフォーマットを「使ってみる」をテーマとしたグループ展「フィジーク トス」が、アキバタマビ21で行われた。参加作家はucnv、小林椋、時里充、本山ゆかりの4名。絵画から映像インスタレーションまで、表現領域の異なる作品を貫く「計測」とは? 「からだの錯覚」を研究する小鷹研理がレビューする。

美術手帖では、批評家や学芸員などよる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、3月に公開された6本をピックアップしてお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

太平洋戦争中の強制収容といった過酷な体験を耐えながら、アメリカでその生涯を全うした画家の小圃千浦(おばた・ちうら)。そんな小圃の初回顧展が昨年アメリカで開催され、今年に入ってその巡回展が岡山県立美術館で開催された。東洋と西洋の美的感覚が混在する小圃作品約140点を紹介した本展を、インディペンデント・キュレーターの長谷川新がレビューする。

無国籍性、素材の質感を重視したスタイルが特徴の陶芸作品を手がけ、古陶磁、古道具の蒐集家でもある内田鋼一の個展が兵庫陶芸美術館で行われた。白をテーマとした作品と自身のコレクションが並置された本展から見えてくる、「民藝」なき戦後の日本社会の「自由の美」とは。美術評論家・清水穣がレビューする。

1980年代をテーマとした展覧会が、静岡市美術館、国立国際美術館、熊本市現代美術館をはじめとする各地の美術館で立て続けに開催されている。1980年代日本の現代美術はどう括られるべきなのか? 各展に見られる重複と反復、思惑を椹木野衣が読み解く。