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「ほぼ、空:青木淳+リチャード・タトル」展(東京オペラシティ アートギャラリー)開幕レポート。空間認識を揺さぶる「空」

東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで、青木淳とリチャード・タトルによる二人展「ほぼ、空:青木淳+リチャード・タトル」が開幕した。会期は9月23日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=大原愛美(編集部)

本展の展示物とコレクション展の展示物が混在する下階の展示室

 東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで、青木淳リチャード・タトルによる二人展「ほぼ、空:青木淳+リチャード・タトル」が開幕した。会期は9月23日まで。企画担当は同館シニア・キュレーターの能勢陽子。

建築と美術、「空気」と「光」の融合によってつくられた「ほぼ、空」

 本展は建築家・青木淳(1956〜)と、美術家・リチャード・タトル(1941〜)の二人展。建築を「空気」に喩える青木と、美術作品を「光」に喩えるタトルによって、日常生活では見ることのできない自由な空間が構想された。ふたりに共通する既存の枠組みを超えるという発想が共鳴し、探索や発見、想像を導く空間構成がなされている。

 青木淳は1956年、横浜生まれ。1982 年に東京⼤学⼤学院建築学科修⼠課程を修了し、住宅、公共建築、商業施設などを幅広く手がけた。代表作に「青森県立美術館」(2006)や、⻄澤徹夫との共同設計の「京都市京セラ美術館」(2006)などがある。また、建築、美術、文学など多分野での執筆活動も行っている。

 いっぽうのリチャード・タトルは1941年アメリカ・ニュージャージー州生まれ。現在はニューヨークとニューメキシコを拠点に活動している。コネチカット州ハートフォード市のトリニティ・カレッジで哲学と文学を学んだのち、アーティスト活動を開始。ホイットニー美術館やテート・モダンなどで個展を開催したほか、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ドクメンタなどの国際展にも多数参加。ポスト・ミニマリズムを代表するアーティストのひとりとして、85歳の現在も活動を続けている。

固定概念に捉われないふたりによる独自の空間構成

 展示空間内はタトルの考案した、茶色の柱頭をもつ白い柱、木々の葉の上にカタツムリが載ったバスケット、色とりどりの色薄紙を繋げてつくられた帯からなる3つのエレメントで構成され、そこに青木が過去の展示で使用した台座を再利用してつくった椅子などのユニットが点在している。それぞれがシンプルな構造体であるものの、ライティングやレイアウトなどによって、空間ごとに異なる表情を見せる。

写真中央下部が柱、手前がバスケット、最奥の壁上が帯

 また、本展では青木の提案によって、企画展示室、コレクション展示室、若手作家を紹介する「Project N」の展示室、そしてミュージアムショップの4つの部屋をひと続きの空間とし、それらの役割を入れ替えながら混在させている、位置をシャッフルさせている。

平常時にミュージアムショップが位置する部屋は本展の展示室となっている
下階の展示室には本展の展示物とコレクション展の展示物が混在する

 ミュージアムショップでは企画展が開催され、ギャラリー内のコリドールがミュージアムショップとなっている。さらに、下階の本企画展内にコレクション展を混在させ、上階の「Project N」の東山詩織の展示のなかに青木とタトルの作品が入り混じっている。上階と下階を繋ぐ階段のある空間にもふたりの作品が置かれ、本展のみならず、ギャラリーを訪れる行為全体が一つの纏まりをもった体験として演出される。その観点は、本展を構成する各エレメントにタイトルがほぼ存在せず(展示タイトルと同じ名の作品・リチャード・タトル《Almost Sky》のみタイトルが記載されている)、展示タイトルが全てのエレメントを包括している点にも表れている。