「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ー新説/真説 コシノヒロコー」(東京都現代美術館)開幕レポート。多層的なクリエイションの全貌に迫る【4/4ページ】

チャプター5「絵描き少女と子どもたち─未来への恩返し」

 最後のチャプター5「絵描き少女と子どもたち─未来への恩返し」では、コシノが未来に向けて実践するプロジェクトが紹介されている。デジタル技術の発展に伴い、自らの手でものをつくる機会が失われつつある現状に懸念を抱くというコシノ。その課題を解決すべくコシノは、「次世代育成へひらかれた創造」をテーマに、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団が実施する子供向け芸術文化体験プログラム「こどもファッションプロジェクト」を展開している。

小学生10名の参加者がデザインした「つくってみたい服」
小学生から18歳までの約100名がつくった、オリジナルの犬のぬいぐるみに着せる服

 本プロジェクトは2024年より始動。初年度は、子供たちが自由な発想で洋服のデザインに取り組む「ファッションアカデミー」や、第一線のプロフェッショナルから演出、ヘアメイク、撮影などを学び、自らファッションショーをつくり上げる体験プロジェクトが行われた。 続く25年度には「ぬいぐるみの衣装」をテーマに、小学生から18歳までの約100名が参加。会場には、彼らが手がけたオリジナルの犬のぬいぐるみの衣装が並ぶ。

 コシノは「子供たちの純粋な眼差しが自身のクリエイションにも影響を与えてくれた」と語る。本当のクリエイションの種は、子供たちの発想から生まれると確信したコシノ。「その素晴らしさを子供たち自身にも自覚してもらいながら、ものづくりを続けていくための刺激やきっかけをつくりたい」と話した。自身が半世紀以上、多様なかたちでクリエイションに携わってきたからこそ、次の世代を育て、文化を継承していくことも大事な使命だと意識しているのだろう。

 ファッションデザイナーとしての側面に光を当てながら、それ以外の表現方法でも熱量を持って創作に向き合ってきたコシノヒロコ。その全貌を明らかにする本展は、いち表現者としての覚悟や挑戦とともに、次世代への継承や未来の表現者の育成を真剣に見据えるコシノの想いと実践が伝わってくる内容となっている。

編集部

Exhibition Ranking