「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ー新説/真説 コシノヒロコー」(東京都現代美術館)開幕レポート。多層的なクリエイションの全貌に迫る【2/4ページ】

チャプター1「原体験と想像力─コシノヒロコの世界」

 チャプター1「原体験と想像力─コシノヒロコの世界」では、コシノが現在までに生み出してきた数々の作品が並ぶ。ドレス、日本画、ペインティング、歌舞伎の舞台幕、タペストリー、長唄など、その展開はじつに多彩だ。ひとつの空間に集められたそれらの作品群によって、コシノの旺盛な創作意欲と、作品のバリエーションの豊かさに圧倒される。

チャプター1「原体験と想像力─コシノヒロコの世界」の展示風景

 コシノは自身の創作の原体験として、幼い頃に祖父に連れられてみた歌舞伎や文楽を挙げている。これらに通じる日本的な美学は、コシノの創作の根底に息づくものだ。また、幼少期に母に買ってもらったパステルも原点となっており、自らの手を使って絵を描くという行為そのものが、コシノの創作活動の出発点にあることがうかがえる。

鏡面となっている壁面に展示されている絵画作品群

 会場では、原点から派生して生み出されたコシノ独自の多様な表現による作品群が、天井高のある空間を最大限に生かし展開。さらに壁面には鏡面が使用されており、空間に奥行きをもたらすとともに、コシノの創作が持つ多面性をより強調している。

チャプター2「交差する美学─コシノヒロコと日本的モダニティ」

 チャプター2「交差する美学─コシノヒロコと日本的モダニティ」では、ローマのアルタ・モーダやパリ・コレクションに至るまでの代表作が展示されている。また、会場には田中一光の《冬季オリンピック札幌大会'72[試作]》(1968)や、石岡瑛子が1979年に制作したPARCOの広告ポスター、倉俣史朗の代表作のひとつである《ミス・ブランチ》(1988)など、時代を代表するアートやデザイン、広告が並置され、当時の時代感覚を追体験できるようになっている。

チャプター2「交差する美学─コシノヒロコと日本的モダニティ」の展示風景
手前:コシノヒロコ《シチリアの夢 2012AW》、奥:元永定正《作品》(1962)キャンバスにエナメル 173×274cm 東京都現代美術館

 また本章では、コシノが大阪・心斎橋時代に親交のあった「具体美術協会」との関係についても紹介されている。元永定正を通じて触れたという同協会の理念は、のちのコシノの創作に大きな影響を与えた。既存の素材を用いるだけでなく、いまだ見ぬ表現を求めてテキスタイルを開発する段階から挑戦する姿勢には、その理念が通底している。

 さらに、有名デザイナーがファストファッションやコンビニエンスストアと協業することが当たり前になる前の時代から、コシノが取り組んでいたライセンス事業や企業とのコラボレーションにも焦点を当てる。美と日常生活の関係を拡張しようとした、その先見性のある姿勢が紹介されている。

編集部

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